2012年1月号
特集2 - 復興に大学の力 2
東北学院大学
災害研究でも地域を支援
顔写真

佐々木 俊三 Profile
(ささき・しゅんぞう)

東北学院大学 学長室長



東北学院大学は、競争的資金活用や自治体からの委託により「災害に強いまちづくり」などさまざまな復興関連の研究を進めている。

3.11の東日本大震災で、東北学院大学は建物の被害が12億円を超え、授業料減免等の措置を行った被災学生らは1,800名を超えた。被災大学であるにもかかわらず、大学キャンパス内に被災した近隣住民を迎え入れ、多賀城キャンパスの礼拝堂、土樋キャンパスの体育館等で避難所としての機能も十分に果たした。特に多賀城キャンパス礼拝堂では、被災した多賀城市住民を最大500名に上るまで受け入れた。

東北学院大学は平成19年に多賀城市との間に連携協力協定を締結した。多賀城市の市政に関わる事業計画に参画しているが、今回の大震災においても避難所提供や救援物資の貯蔵基地として、連携が具体的な形となった。

工学部では多賀城市に対して、「被災状況の調査と工学見地からの都市再生の提言」をまとめようとしている。内容は地震および津波の概況、橋、上下水道、コンクリート構造物、地盤および液状化、建築物および地域建築計画、道路および地域建設計画、物流計画、電気供給計画に関してである。

災害に強いまちづくり

地域への災害研究支援も活発化し、教養学部は文部科学省平成23年度私立大学戦略的研究基盤形成支援事業に申請・採択され、「地域災害脆弱性の克服と持続基盤形成を促す大学・地域恊働拠点の構築」を目指し、研究者・学生・地域を結び、災害に強い地域づくりに取り組む。津波で壊滅状態となった七ヶ浜町から委託を受け、「災害に強いまちづくり調査研究」にも取り組んでいる。

さらに、三井物産環境基金や科学技術振興機構からの助成を受け、津波による汚染土壌の生物浄化技術の研究や電力の有効的使用に関するハイブリッドパワーサプライシステム開発の研究等を実施している。

大学の機能を広く広報
東北学院閖上シーサイドハウスの被災状況

東北学院閖上シーサイドハウスの被災状況

東北学院大学は、主に東北地域を中心に16万人に及ぶ同窓生を輩出している。地域との基盤強化を図るために、震災以前から、公的な機能を有する組織との連携・提携を意図してきた。特に東北のメディアを代表する河北新報社との提携強化を図ることで、東北学院大学の研究教育の機能を広く広報していくこととなった。今日の学生に現代の政治・経済・社会の基礎的な認識が欠けていることに鑑み、河北新報社とはこうした認識レベルの強化を図れるよう、教育面での提携も視野に入れて活動している。この提携の所産として、今回の被災では、被災者と支援者を結ぶ情報ボランティアの役割を河北新報社の助力のもとに実施し、一定の成果を上げた。

また、多くの同窓生が東北経済で中堅の活躍をしているため、東北地区の経済振興の代表機能を果たしている仙台商工会議所との提携強化に踏み切った。東北の祭りにおける企画運営への支援、震災後激減した外国人の東北訪問を活性化させるため、観光誘致を支援するなど、研究者と学生双方がそれぞれのレベルで協力していくことを確認した。今夏、首都圏や関西圏からの多くのボランティア学生が来仙した際に、祭りでともにボランティア協力を行うなど、具体的な活動への一歩を踏み出している。

ボランティアの大学間連携
気仙沼地区でのボランティア活動風景

気仙沼地区でのボランティア活動風景

震災後、仙台市の社会福祉協議会より、来仙する専門的なボランティア活動者に対して、駐車場や宿泊便宜などへの協力依頼があった。ボランティアセンターを設立する準備段階にあった東北学院大学は、急きょ、災害ボランティアステーションを設置。続々と支援要請が地域から入ってくる中、学生のボランティア活動への仲介業務や支援業務を行い始めた。特に、首都圏や関西圏の各私立大学から、被災大学としての本学に支援の要請があり、被災校としての地域復興支援ばかりか、本学を中継して多くの大学を被災地へ送り出すハブの機能をも果たすことになった。特に夏休みを利用しての大学間連携ボランティアは、被災対象地を大学のない気仙沼・唐桑とし、そこに延べ1,500名を超える教職員学生ボランティア派遣を行った。受け入れの地域住民との強いつながりもでき、学生たちの自立支援のきっかけになった。受け入れを中継した災害ボランティアステーション所員は疲弊したが、それでも現場を体験した学生たちの充実感と満足感を経験し、学生たちと喜びを共にしている。

8カ月を経て被災地の支援業務は一変している。瓦礫(がれき)撤去から仮設住宅支援、地域の産業生活支援へと業務がシフトしているが、今後もこの大学間連携ボランティアの仕組みを有効に活用し、多くの地域への現実的で持続的な支援に努力できるよう、計画している。