2005年4月号
特集  - 産官学連携による技術革新とベンチャー企業育成の促進
産官学連携による技術革新とベンチャー企業育成の促進

リチャード・B・ダッシャー Profile
(Richard B. Dasher)

アジア・米国技術経営研究センター
所長/スタンフォード大学特任教授
同大集積システム研究所業務担当所長

第32回世界貿易センター主催の講演会で、スタンフォード大学教授のダッシャー博士が表題に関する講演をされた。以下がその抜粋である。なお、ダッシャー博士はスタンフォード大学にある集積システム研究所所長、アジア・米国技術経営研究センター所長も兼務され、産学連携で活躍されている。また日本との関係では、日米ビジネスインキュベーションセンターの顧問も務めておられ、過去に米国国務省日本語研究所長も経験されていることから、日本と非常に縁の深い方といえよう。

 本日の私の講演は4つの部分からなる。

(1) 伝統的な産学官連携におけるそれぞれのセクターの役割と、各セクターが社会に与える便益
(2) 産学連携の改善と改善へのニーズの高まり
(3) 新しいパターンの産学連携の実施、そして
(4) 特に日本に的を絞った産学官連携の課題および機会

である。

伝統的な産学官連携におけるそれぞれのセクターの役割とそれらが社会に与える便益

大学は研究論文を生みだすことにより、社会に便益をもたらしてきた。特に民主主義国においては、教育レベルの高い国民を持つことが非常に重要になる。この構図に産業界が加わることで、そこから商品ないしサービスが生まれる。これらはいうまでもなく社会にとって便益となる一方、企業ないし業界はその社会から利益を得る。そして、そこで生じる雇用からも便益は生まれるが、これは産業界にとって必ずしも主要な目的ではない。産業界はモノを売ることで社会にプラスをもたらすからである。ここで大学の卒業生は企業に雇用され、また大学が生み出した新しいアイデアに基づいて書かれた研究に産業界が接することにより、大学は産業界を介して社会に便益を与えることになる。この関係に政府が加わるとどうなるか。まず政府の役割をいうなら、一つに規制や法律、市民の安全性の確保といった施策を通して、住民にとって良好な環境をつくるとともに企業に対しても公正な環境をつくる。加えて政府は社会の将来に対する投資も行う。例えば、国防、防衛を通して、社会の安全を保障する。公共投資も将来の社会にとってプラスとなる。これに関し日米を比較すると日本では政府の将来に対する投資、これは大学向けの投資であるが主に文部科学省の予算配分によって行われる。一方で、米国政府は競争を通して、助成金を出す。

産業界サイドから見ると日本の将来に対する投資は、通常は、研究コンソーシアムや経済産業省を通じて行われる。一方、米国はこの場合も助成金である。企業は競って政府から資金をもらおうとする。こういった違いはあるものの全般的に見て、米国と日本では、大学、産業界、政府がそれぞれ独立しているといえよう。相互の関連は個人個人のコンタクトを通して行われるのが実情である。例えば教授との個人的関係、卒業生同士の個人的関係である。そして、セクター間の知識の移転は通常一方向で、リアルタイムに行われる場合は少ない。学生は大学で学び、卒業し、企業に就職する。政府は、テクノロジーのニーズを特定し提案を募る。すると種々の企業が応募し競う。そして資金が出る。そして研究を行って、その結果がレポートとして、政府に戻ってくる。これはリアルタイムではなくリニア(線形)なのである。

産学連携の改善と改善へのニーズの高まり

しかし昨今、社会から新たなニーズが生まれてきている。

このニーズこそがリアルタイムの、より密接な産学連携を必要とするのである。しかし、重要な点は、大学は常に基本的に大学であり続ける、産業界は産業界としての役割を変えることはないということである。それらに加えて、大学と産業界の相互協力の必要性が新たに浮上してきたのである。政府は触媒としての役割を担う。この新しい関係が真に社会にとってプラスとなるよう取り計らうのが政府の役割である。

この新しいニーズは特にイノベーションの初期段階に見出すことができる。革新とは通常は、最初の発見、発明、もしくはアイデアやテクノロジーの発想が実用化されるまでのプロセスである。この実用化とは、商業化などによって実現される。従って初期段階ではどのように実用化が進むかわからない。一方イノベーションの後期段階では駆動力となるのが実用化に向けたコスト・技術のニーズである。初期段階では基礎研究、後期段階では特定の目的を達成するための開発となる。これらの段階によって関与する人間も異なってくる。

またイノベーション・プロセスでは資金の流れを考える必要がある。そして、誰が実際にこの研究開発のプロセスを行っているかを考える必要がある。ここで、真に社会が必要とする基礎研究に対して投資できるのは国である。特に昨今では、基礎研究が民間会社の中で行われるということはまれになりつつある。そうはいっても後期段階では、産業界が投資して製品を開発する。大学は基礎研究に、そして製品開発に適するのは産業界である。その中間には応用研究がある。では応用研究はどのタイミングで行われるのだろうか(ジャーナルサイトに別途掲載のPDF資料を参照)。

では、この新しいニーズがなぜ出てきたのだろうか。まず、イノベーションは先進国にとって非常に重要である。新しいアイデア、新しい商品が本質的に高い付加価値をもたらすからである。先進国において、特に利ざやが高いものが要求される場合、イノベーションは特に重要になる。第2に、今非常に速いテンポで技術革新が進んでいる。そして技術革新には高いリスクが伴う。特に基礎研究を考えるとさらにそれは高くなる。インターネットやビジネスのグローバル化で産業界はこれまで以上に厳しい競争にさらされている。多くの企業は研究プログラムを削減せざるをえない状況にある。例えば、5年後の将来に投資するのではなく3年後の将来のために商品開発を行わなければならない。こういった事柄を考え合わせるとイノベーションシステムではその初期段階で何かを変えていく必要がある。

規模の大きいリストラが日本では起きていると思う。そして、日本は、生産をベースとする経済から真に知識ベースの競争力を持つ経済へと移行しようとしている。また、製造プロセスの標準化が行われたがために製造は地価や賃金が安いところで行われつつある。同時に、政府は非効率的な産業保護政策を切り捨てた。そして産業界もコスト削減のために終身雇用制を見直し始めている。さらに悪いことに、数年後に日本政府の負債が大きくなるので、資金不足となる。特に大学に振り分けられる資金が少なくなろう。そして高齢化も進む。これらのファクトが社会に与えるインパクトは大きい。つまり、日本はこの初期段階のイノベーションシステムを改善する必要があると言えよう。

すでに日本は後期の段階でのベストプラクティスを持っている。企業は非常によく機能している。しかし、基礎研究から応用研究に至る移行期間が今は重要である。日本の企業はビジネスの機会をできるだけ早く特定したいと望んでいる。しかし、研究資金をより効率的に配分したいとも望んでいる。起業家は、言うまでもなくこの初期段階で非常に重要になる。テクノロジーリスクやマーケットリスクを考えてみると、スタートアップ企業のみが両方のリスクを同時に担うことができる。大企業は、すでに大きい市場が存在している場合、新しい技術の開発に踏み切ることができる。また、大企業は、既存のテクノロジーに対して新たな市場を見出すこともできる。従って、起業家は、マーケットリスクが高く、また同時にテクノロジーリスクが高い、つまりイノベーションの初期段階において非常に重要な役割を果たす。

スタートアップ企業は、産学連携の中で大きな役割を担う。それは、多くの場合、大学の技術のライセンスの受け皿となっているからである。米国では、知的財産権は大学に帰属するわけで、学生や教授は大学から知的財産権をライセンシングとして受け取り、ビジネスを立ち上げる。従って大学はライセンスを与える役割を持つ。スタートアップ企業は投資家として振る舞うことにより産学間の橋渡し役を担う。スタートアップ企業は料金を支払い大学の実験室を使用することがある。しかし、大学はスタートアップ企業に対して多額の研究資金を要求することはできない。なぜならばスタートアップ企業は、自らの商品開発やビジネス開発に資金を使う必要があるからである。よって、研究資金の供給先は大企業となる。

新しい産学連携パターンを導入するには

まず、3つの技術移転のパターンがある。一つは従来型で、直線的、もしくは線状のハンド・オフである。つまり、大学から企業への一方通行の技術移転である。しかし、80年代から米国では、特に大学において技術のスピルオーバーモデルがとられる傾向にある。スピルオーバーモデルは、リアルタイムで、双方向に知識を産学間で共有することである。例えば共同の研究開発プロジェクト、研究所の公開、企業から大学への研究者の派遣、学生が企業にインターンとして派遣されるなどがその例である。

90年代から見られる傾向が技術ライセンシングである。たいてい、技術移転は従来型のリニア・ハンド・オフと言われる一方通行のやり方と似ているが、技術移転が生じる時期が異なるのである。大学から企業が技術を買うのではなく、これまで大学が行ってきた研究に対して投資をするのである。今言われているスピルオーバーモデルでは、長期にわたる産学関係を構築していくということで、人と人との交流がかかわってくる。そして、人が従来型の役割を超えて、相手のフィールドにも踏み込んでいくという点で、例えば教授がコンサルタント役を担う。技術のスピルオーバーモデルは今時代が求めている新しいニーズに応えるためにも非常に大切である。リアルタイムで、双方向の知識の交換ができるというだけでなく、基礎研究から応用研究への移行期間を重視しているからである。特に、企業が大学に投資し、大学側に研究をさせたほうがいい分野がある。またイノベーションの後期では企業は機密性を求め、知的財産権を独占したいというニーズも出てくる。しかし、これは大学の利害関係と衝突する。大学側は、学問の自由、発表に関する自由を求めるからである。また、時間的な枠組みを見ても、プロジェクトの期間は期限を設定できないので、産学間で実際に協働ができる分野は自然と限られてくるとも言える。その一例として、スタンフォード大学の工学部の学外資金調達の例を紹介する。同大学の独自資金は、2003年度(2002年9月~2003年8月まで)の全支出の22%だった。そしてほかの基本財からの収入が12%であった。従って約3分の1が大学自前の資金であったと言える。しかし、最大の資金源は、外部からの研究委託*1による資金、もしくはスポンサー機関からの資金であった。例えばスポンサーを得た研究プロジェクトの4分の3が米国政府の研究委託による資金を受けた。米国政府の次に大きなスポンサーとなるのは民間財団、次に外国政府である。しかし、企業がスポンサーとなっている研究プロジェクトは全体の研究の10%以下であった。またその額は工学部全体の予算額の3~4%に過ぎなかった。

ここで「その他」のカテゴリーに入る資金は、さまざまな寄付、特定の教授への寄付、大学内の産業協賛会への会費(メンバー費)、技術ライセンシング料などである。これらはインセンティブとしては重要であるが資金源としては大きくない。例えばスタンフォード大学では、最も活発な産学連携のチャンネルは予算の「その他」の項目に入る。そのなかで特定の教授の研究への寄付や大学内の産業協賛会へのメンバー費が大きく、技術ライセンシングもある。しかし、技術ライセンシングは教職員および学生である発明者に対するインセンティブとして重要だが、大学の予算の組み立てでみるとそれほど大きくない。スタンフォード大全体では技術ライセンシングは2003年度に5,000万ドルの印税料(ロイヤルティー)を発生し、知財本部はその15%を手数料としてとり、残りを3分の1ずつ平等に発明者、発明者の所属学部、所属学科にわけて支払った。工学部およびそのなかの学科に結局入った額は90万ドルで、工学部の総合予算の1%にもならない。ちなみに、印税料が発生するのは医学部で、そこに入った額は多分数百万ドルで、医学部の総合予算の数%に過ぎないだろう。

また、ライセンシングの場合は、その特許が商品化されるのにだいたい5年から10年というように非常に時間がかかる。実用化されて初めて収入につながるので、5年、10年先の収入をあてにした大学運営は非常に難しい。

当大学では、産業協賛会のメンバー費の一部分が研究の金銭的サポートに当てられ、寄付金と同様、それを受ける教授は自由に研究に使える。企業はなぜこういった寄付をするのか、米国では企業は、支援をしている大学の研究プロジェクトから優先的に種々のアクセスを得られるというメリットがあるからである。また、そのプロジェクトに企業側から研究者を派遣できるのである。またその研究がどういった方向を取るべきか、多少なりの影響力が持てるからである。研究への支援の他に、スタンフォード大学は、2004年は200万ドル程度を大学の研究施設の使用料という名目で企業から得た。

スタンフォード大学の例だが、大学発ベンチャーを発足させるには、すべて大学主体ではなく、個人主体で行われる。そして、教授よりも大学院生、学生らが実際にいいアイデアをつくって起業していく。一方で、大学側は、どうやってスタートアップ企業をつくり、それを成長軌道に乗せるかについて教えることに焦点を置く。他に、スタンフォードに関係している人々は、ビジネスをスタートアップさせるために必要なさまざまな人脈を学生たちに紹介する。

大学側が実際に管理するベンチャー資金は非常に限られたものだが、外部のファンドマネジメントの会社に委託されている。従って大学内にインキュベーターはなく、また、大学は、利益相反に常に配慮している。

日本における産学官連携の課題および機会

日本における産学連携は、在り方自体がやはり変わっていくと思われる。日本の社会や経済が変わっていく中で、日本の産学連携の在り方自体も変わらざるを得ない時代に入っている。まず、企業は競争力維持のため、間接費を削減しなくてはならず、社内の基礎研究への比率が少なくなっていくと思われる。また、スタートアップ企業などの吸収合併が今後増えよう。私は、終身雇用制度は徐々に消滅していくと考える。終身雇用制度がなくなれば、企業は社員研修、訓練への支出を減らしていく。代わって社員、もしくは個人レベルで、自らのキャリアアップを図るようになると思われる。政府の財政的な事情も変わってくると思われる。こういった状況で、プラスの変化を誘導するにはどうしたらよいか。

まず、共同研究という枠組みで見てみよう。非常にいい技術があってそれが今後5年、10年、どう展開されるかという場合、大学のほうがよいコスト効率で研究ができる分野が多々ある。また、研究をさらに極められるような、つまり研究者が新しい試みをできるような非常に柔軟性に富んだ枠組みが必要である。つまり、産学間で良好な影響力を及ぼし合いつつ互いに無理な支配、管理をするような関係ではない環境である。そして、具体的な目標をこの研究段階で設定するのではなく、非常に柔軟な目標設定をすることが大切である。

真の意味での共同研究はなかなか難しい。理由は企業および大学が優秀な人材を確保するために双方で投資しなくてはいけないからである。企業は優秀な人材は社内にとどめておきたい事情もあるだろうが、企業が大学に対して研究を支援する、そして企業から研究者を大学内に派遣する、もしくは大学から学生をインターンシップとして企業に派遣するといった、研究のベースはあくまで企業にあるわけだが、そういった共同研究形態がとられよう。そして、もう一つ、コスト面を重視する必要がある。企業は社内で行うより大学で行えば低いコストでできるということが非常に重要で、これが、米国で、こういった共同プロジェクトが成功している理由なのである。フィリップス、IBM、日立といったさまざまな企業が、互いに競争関係にありながら同じプログラムに支援を提供しているのである。

また、共同研究を通して大学で行われる研究すべてにより良い影響をもたらさなくてはならない。だいたい大学への投資額プラス10%が企業にいずれ利益として戻ることになると言われる。そして、技術ライセンスも非常に大切になるが、日本ではここ数年間、技術ライセンスで非常に大きな改善が見られていると思う。TLO(技術移転機関)がより大きい成功をおさめきちんと機能するには、やはり大学側と密接に連携をとり、大学への支援をしなくてはならない。つまり、それら機関はサービス主導型にならなければならない。大学は技術を買おうとする企業の人々ではなく、その戦略的研究の支援者たちに該当する研究内容に関する情報を提供することが非常に重要である。そして、もっとも重要なことは、ライセンシーにとって真に友好的なビジネスモデルを持つことである。将来、研究の第一の支援者となる企業に対して、より価格を下げたライセンス料を考慮するのも非常に重要となる。

今後の3つの課題

まず1番目の課題は大学発のベンチャーである。これにはビジネス界からの専門的知識が必要とされる。プロの投資家が知り得る企業の価値を知る必要がある。また企業の企画立案にはマーケティングの専門性が必要である。企業を興し、成長させるという経験を持つ企業人と話す必要もある。多くの大学は大学外から人を雇用しはじめている。これは重要な点である。また、大学は投資ファンド自体のゼネラルマネジャーとなろうとしないことである。投資専門家に投資を任せてもよい。ただし、投資専門家は大学のパートナーであってもそれは限定したものとするのがよい。大学ベンチャーについてもう1点、それは日本では、どんなスタートアップ企業でもまず顧客を得ることが非常に難しいということである。一般に、大手顧客の製品開発部はスタートアップ企業に“技術評価の修羅場”をクリアさせる。そういった技術は延々と評価され続け、決して、販売にまで至らない。従って大学はスタートアップ企業が顧客を得やすいように尽力する必要がある。おそらく大学が技術から生まれた製品自体を購入することも一考に価する。成功例がさらに増えていけばこういった事態も向上していこう。

第2の課題は、利益相反もしくは利害衝突に関するポリシーである。これについて、日本の状況は、米国よりも緩い感じがする。日本政府は、産学連携促進において特に利益相反に関し緩い考え方を持ちつつあると考える。例えば、企業が守秘義務を要求するのであれば、あるいは研究結果に対し排他的なアクセスを求めるならば、これは大学にとってはプラスとなるプロジェクトとは言えない。つまり学生は、卒業後、さまざまな仕事のオファーを評価できる立場になりたいからである。従って学生の権利を守る必要もある。

そして、大学の中核的なミッションを守ることも重要になる。これは、大学が象牙の塔とならないためにも重要である。商業的な利益に注目が集まれば、おそらく研究の質も下がってしまうであろう。

第3に現実的な期待を抱くということである。産学連携は、工学、医薬品といった分野にフィットするものだと思うが、大学は、自然科学とか基礎科学、そして一般的な分野での研究が必要になる。これは、創造性を保つのに重要である。そして、さまざまな分野の学生や教授間の交流を図るために重要となる。

写真2

原山優子氏(司会)

産学の関係が強まればすべての問題が解決するというわけではない。特に初期段階でのイノベーションにおける問題すべてが解決されるわけではない。知識ベースの経済はより大きなシフトを必要とする。企業や政府のリストラが必要となる。一方、大学は大学としていい仕事をしなければならない。ただ単に連携を強めるだけではなく、大学としての役割も強化しなければならず、同様なことが企業についても言えよう。つまり、産学連携で、それぞれがどういう役割を担えるかを考えることが重要である。

社会は新しいニーズを持っている。産学連携ではリアルタイムの、双方向のコミュニケーションが求められる。日本では、こういったことが今まではさして多く行われなかった。産学連携という新しいパターンを自然に、それぞれが持つ本質的な強みの上に構築することが必要であり、それにかかわる価格設定も適切である必要がある。産学連携は初期段階でのイノベーションの解決の一部でしかない。産学連携は、ただ単に資金関係にとどまるものではない。これは新しい、人対人のパートナーシップの開発につながるのである。

*1研究委託による資金
委託研究(スタンフォード大学では「スポンサード・プロジェクト」という)とは、正式な契約書のある研究協力体制となり、大学は、具体的な出力(デリグラブル)を義務づける代わりに大学が間接費を含めたフル・コストをスポンサーから要求することをいう。

:本講演は、平成17年1月19日(水)に世界貿易センタービルにて開催。講演内容要旨を、司会の原山優子氏(東北大学大学院工学研究科技術社会システム専攻教授)に監修いただいたものである。