2005年8月号
巻頭言
顔写真

太田 房江 Profile
(おおた・ふさえ)

大阪府知事




大阪府内には、高度な研究水準を誇る大学や試験研究機関、高い技術力を有するオンリーワン企業などが多数集積しています。大阪経済を活性化するためには、これらをベストな形で結びつけることはもちろん、大阪府内において技術的に高い競争優位を持つ、ライフサイエンス、ナノテクノロジーや次世代ものづくり、IT、環境エネルギーなどの分野を重点的に支援していくことが重要であり、そのためには、大阪府内の各地域が持つポテンシャルを十分に活用することが必要であると考えています。

例えば、高度な技術力を持ったものづくり中小企業が集積している東大阪地域においては、昨春、「次世代の高品位接合技術開発」プロジェクトが、都市エリア産学官連携促進事業として採択され、ものづくりの総合支援施設であるクリエイション・コア東大阪を拠点として、東大阪地域の中小企業や大学、府立産業技術総合研究所が連携し、新しい接合技術の確立と装置の製品化に取り組んでいます。

また、大阪大学や国立循環器病センターなど、バイオ分野における世界一級の研究機関等が集積している北大阪地域においては、昨年オープンした彩都バイオインキュベータが拠点となって、大学発バイオベンチャーの創出、育成を支援しています。今年の4月には、彩都ライフサイエンスパークの中核施設となるべき医薬基盤研究所も開設されました。さらに、本年度より、研究成果の産業化促進のためのビジネス化相談・事業化支援を行う「バイオ研究成果産業化促進事業」や大学発ベンチャーの支援機関に対しビジネスプラン作成等の費用の補助を行う「大学発ベンチャー創出促進事業」、バイオ関係者の交流を盛んにするためのセミナーを行う「彩都バイオフォーラム」等を開始するなど、彩都を中心に、国際的なバイオクラスター形成に向けての産学官の連携強化が進んでいます。

また、南大阪地域では、科学技術振興機構により設置された研究成果活用プラザ大阪や府立産業技術総合研究所、大阪府立大学を拠点として、地域結集型共同研究事業の「ナノカーボン活用技術の創成」をはじめ、ハイテク産業の創出を目指した研究、開発が進められています。

そして、この南大阪地域における産学官連携の拠点の1つである大阪府立大学でも独自の取り組みが行われています。大阪府立大学では、金融機関からのコーディネーターの受け入れや顧客企業の紹介等、金融機関との連携にもいち早く取り組み、新事業の創出や中小企業経営における後継者の育成支援など、地域の産業振興に寄与する活動を推進しています。また、大阪府立大学は、今年4月、大阪府立の3大学(大阪府立大学、大阪女子大学、大阪府立看護大学)を統合するとともに、公立大学法人として、新たなスタートを切ったところです。これを機に、これまでは主に教員個人単位で行ってきた産学官連携活動について、全学的に取り組むべく、平成15年度に設立された知的財産ブリッジセンターを発展、充実させ、「産学官連携機構」という組織を立ち上げました。同機構は、従来のリエゾン機能や知的財産の管理機能に加え、研究部門を取り込み、知的財産の創造や発掘、マネジメントから活用までを一元的に実施する組織で、産学官連携活動をさらに促進していくものとして期待されています。

このように大阪府では、北、東、南大阪の各地域特性やポテンシャルを生かし、国プロジェクトの獲得、共同研究開発事業への参画や研究成果の移転などを通じて、新産業の創出を目指した取り組みを進めています。今後は、大阪のリーディング産業へと発展して行くような、新技術の実用化や既存技術の高度化に向けた研究開発の推進に努め、産学官の連携と科学技術の振興を通じた大阪経済の活性化につなげて行きたいと考えています。