2005年10月号
イベント・レポート
「産学連携ネットワーキング UNITT」報告

長引く残暑のなか、都会の喧騒をしばし忘れさせる、緑の美しいキャンパスの一隅でUNITTセミナーが2日間にわたり開催された。参加者は300名超で、その多くは大学の知的財産本部やTLO関係者の方々であり、実務レベルの共通課題について解決の糸口を見出す期待とともに参集された。会場では、参集者の方々の責務遂行に向けての熱い思いと日々のご尽力の様子が、活発な議論を通して伝わってきた。

会議はパネルディスカッション形式で、各スピーカがそれぞれの問題点、実情などを話され、その後、フロアとスピーカとで議論が展開された。以下に内容を箇条書きで示す。

[1]ベンチャー企業の起業と利益相反のマネジメント
[2]研究者の異動と知財マネジメント
[3]複数大学間の共同研究
[4]ライセンス契約のバリエーション、発明の強化と特許の維持管理
[5]共同研究と共同出願
[6]学生による発明の取り扱い、TLOと知財本部

上記のプログラムに先立ったキーノートセッションでは、青山学院大学の魚住清彦教授が、本年10月に本格稼動を開始する同大学の知的資産連携機構について紹介された。同機構は知的クリニックという相談窓口を設定しているところが特色である。

産学の連携では、大学からのシーズである研究成果と技術を産へ移転するための、ノウハウやスキルは重要である。本セミナーには大学の知的財産本部やTLOの方々が個別に獲得されたかようなノウハウやスキルを広く共有し、かつ向上させる目的があり、その意味で当セミナーは規模も大きく、有用なネットワークの役割を果たしていることに感銘を受けた。若い人たちも数多く参加しており人材育成の機能も果たしていた。

取り上げられていた課題は、利益相反、産学共同研究契約、ライセンス契約、共同出願などであった。これらの課題において共通して探られていたのは、産学が対立ではなく、相互の立場を保ちつつ、契約条件などについても選択肢を用意し、自由度を持たせ、柔軟に双方が選択できるようにする、といった方向の探索であった。そのためのベースとなる要件は産学のコミュニケーションの確立である。ここではマネジメントの優劣が大きくものを言い、それは産学連携のスムーズな進行を大きく支配するものである、とする共通見解がセミナーの随所で述べられた。

また、利益相反、共同研究、共同出願、ライセンス契約、特許の機関帰属、等など、多くの課題について法的な対応を進めるためには、関連する法律の内容とともに、その果たす役割についての共通理解を進めることが重要であることが理解できた。

(科学技術振興機構 産学官連携ジャーナル編集長 加藤多恵子)


産学連携ネットワーキング UNITT
日時:2005年9月9日(金)  10日(土)
場所:青山学院大学(青山キャンパス)
主催:有限責任中間法人 大学 技術移転協議会
後援:文部科学省 経済産業省
協力:弁護士知財ネット