2005年12月号
編集後記

本号から「産学連携と法的問題」の連載がスタートしました。産学共同研究では、大学側の事務処理能力の欠如が企業側から指摘され、事務対応の遅いことが問題となっています。特に共同研究契約、MTA契約、秘密保持契約、ライセンス契約、共同出願契約などの契約内容の詰めと決裁に手間取ることが多いようです。理工学系の研究者教員自身が産学連携のマネジメント役も担っており、法律や契約の知識に必ずしも精通していないことが多く、法学部や法科大学院を擁する総合大学においてさえ、産学連携に法学系教員が十分活用されていないのが現状です。産学連携の健全な発展には、法学系の教員に委ねることが不可欠であり、利益相反マネジメントにも有効ではないでしょうか。

(青山委員)

仕事柄、自治体の企画に携わる機会が多い。10年前、産学官連携を地域政策や都市政策の主要産業政策として掲げる自治体はまれであった。5年前頃から産学官連携に触れない自治体はほとんど無くなった。現在では、地域や都市の産業政策の主役に躍り出た感じすらある。微力ながら政策立案段階での助言にかかわっている身としては、悪い気はしない。しかし、素直に喜べないのも事実である。それは、政策効果つまり具体的事業の成果に問題が多いからである。官笛吹けど、産学踊らず。正確に言うと、笛と踊りがばらばらで噛み合わず、見るに堪えない事例も起こりうる。12月号を迎えた本ジャーナルが、こうした事態の改善に少しでも役立つことを願いつつ、現場を駆け回る日々である。

(川村委員)

本ジャーナルの対談記事についての打ち合わせをするため札幌に出向いた。空港から市内までの車中から、高い緯度の土地ならではの風景を堪能した。やはり同様の緯度の欧米の都市を訪れた時の風景と共通するものを感じた。そして、打ち合わせでは地域の方々の産学連携への熱い取り組みにじかに接し、感銘を受けて帰った。また、他日、産学官が一堂に会する全国的な会合に参加する機会があった。それぞれの熱い思いと熱心な取り組みに感銘を受けたが、進め方や、特に速度にはケース・バイ・ケースで如実な差異が現れているようである。いずれにしても産学官連携は生きて動いている。本ジャーナルも生きた動きをとらえた情報発信をしなくては、との感を一層深くした。

(加藤編集長)