2007年9月号
連載1  - 国立高専が地域と交流
大阪府立工業高等専門学校
NPO法人北河内エコエナジーと府立高専の産学
連携

伊藤 詣二 Profile
(いとう・けいじ)

大阪府立工業高等専門学校
研究担当副校長
総合工学システム学科
物質科学コース・教授
工学博士

大阪府立工業高等専門学校は、3年余り前から産学官連携で分散型クリーンエネルギー機器開発とその利用に取り組んできた。平成18年5月、NPO法人「北河内エコエナジー」を設立、太陽光およびマイクロ風力発電システムを完成させた。その経過をたどるとともに、将来を展望する。

きっかけ

大阪府立高専は、平成15年8月27日の第3回大阪府立工業高専産官学交流会の中で開催された環境シンポジウムで、北河内地区において分散型クリーンエネルギー機器を開発することや淀川水系および寝屋川水系の地域特性を利用した電源開発を提案した。

経緯

大阪府立高専の呼び掛けで、北大阪商工会議所や寝屋川市・枚方市などの自治体と、北河内を中心とした大阪府内の中小企業が集まって、「北河内Eco-Energy Project研究会」が平成16年4月に任意団体として発足した。その活動の1つとして、本校が中心となって開発した300ワットクラスのマイクロ風力発電システムの普及がある。現在、1号機と2号機が風力エネルギーで発電中である。また、各種の産学交流会に風力発電のモデルを出展したり、大阪府や自治体が主催するエコフェアにも出展したりして、環境啓発活動を行ってきた。さらに、市民対象の環境講演会などでも環境啓発を行っている。平成18年3月1日に、このエコエナジー研究会が発展的に解散し、特定非営利活動法人(NPO法人)「北河内エコエナジー」として再出発することとなった。この設置目的は、研究会のときの設立の理念を引き継ぎ、次のようにうたっている。

図1

図1 北河内エコエナジーの活動イメージ

このNPO法人の目的は、[1]北河内地区を中心に中小企業や大学・高専、市民および産業支援機関等の産官学民が一体となって環境・エネルギーにかかわる新技術や製品開発を通し、中小企業の活性化に貢献する [2]クリーンエネルギーの普及および省エネルギーの提案を通して環境保全を図る [3]そのような活動を通して元気で活力のあるまちづくりに貢献することにある(図1)。

成果と結果

平成18年5月21日に枚方市中小企業支援センター“きらら”でNPO法人北河内エコエナジー設立総会を開催した。その後の活動は毎月第3木曜日に大阪府立高専や枚方市・寝屋川市などの自治体や、その他の有志を交えた“北河内環境エネルギー推進協議会”を開催し、環境に関する勉強会や環境啓発活動を行ってきた。

写真1

写真1 マイクロ風力発電機と太陽光発電



写真2

     写真2 ライトアップするLED照明灯

NPO法人に移行して1年余りが経過したが、NPO法人化前を含め、これまでの活動をここに報告する。平成17年度の大阪府農林水産部環境みどりの推進課が募集した「大阪府民発電事業」に応募し、平成17年10月に採択された。これに伴い、大阪府の庭窪浄水場の施設内にマイクロ風力発電機と太陽光発電のハイブリッドシステムとして2キロワットの施設を作ることになり、資金協力を呼びかけた結果、個人と企業団体合わせて約25団体から約250万円の基金が寄せられた。この基金をもとに、平成17年度末には一応のシステムを完成することができた(写真1)。平成18年度に入って、庭窪浄水場の厚意で本館管理棟の中に発電システムの出力表示やコントロール機器類を設置するために一室を提供していただくことになり、見学者にも見てわかりやすい展示をしている。さらに風力発電エネルギーを利用した噴水を設置した。また、マイクロ風力発電機を夜間ライトアップするLED照明灯は、松下電器産業株式会社・照明社様により、その開発および機器の提供を受けた(写真2)。これにより、太陽光およびマイクロ風力発電システムは完成した。

展望

平成19年度でこの活動も4年目に入り、新聞やテレビでも取り上げられ知名度も上がってきた。その成果か、現在2つの団体から大阪府立高専開発のマイクロ風力発電機を設置したいとの引き合いがあり、設計・製作中である。これらの成果をもとに、さらに高機能化し、平成20年度上期の商品化を目指している。

大阪府立工業高等専門学校の概要(所在地:大阪府寝屋川市  URL:http://www.osaka-pct.ac.jp/
学 校 長 : 武田 洋次(たけだ・ようじ)
沿  革 : 昭和38年4月、2学科(機械工学科、電気工学科)で開校。さらに同年12月、2学科(工業化学科、土木工学科)の増設認可、200名定員。平成17年4月、200名定員1学科(総合工学システム学科)6コース制(機械システムコース、システムデザインコース、メカトロニクスコース、電子情報コース、物質化学コース、環境都市システムコース)への学科改編。同年同月20名定員1専攻(総合工学システム専攻科)4コース(機械工学コース、電気電子工学コース、応用化学コース、土木工学コース)の専攻科を設置。
教育目標: ものづくりの現場でのリーダー的資質を備えた創造力のある実践的な技術者の育成

〈内容は掲載当時〉