2008年7月号
イベント・レポート
第4回群馬産学官連携推進会議
総論の議論から「具体的提案」へ

第4 回群馬産学官連携推進会議が6月9日、前橋市で開かれた。第1部は尾身幸次衆議院議員、松重和美京都大学副学長ら5人の講演。2部は清水秀彦サンデン技術本部長ら5人によるパネルディスカッション。産学官トップの人々による、最先端の動向の紹介や、詳細なデータに基づく背景解説に、およそ450 人の参加者が熱心に聞き入った。


以下、群馬産学官連携推進会議のプログラムと発言ワンポイントを記す(敬称略)。

【第1部 基調講演】
衆議院議員 尾身幸次

GDP のシェアが低下するなど日本の地盤沈下が言われている。私は自民党の国際競争力調査会の会長としてわが国の競争力強化に取り組んでいる。この調査会では、産学官の国際拠点を何カ所かと地域産学官の拠点20 ~30 カ所設けることや、港・空港の24 時間化などを提言した。群馬も地域産学官拠点に手を挙げていただきたい。

京都大学副学長 松重和美

京都には北山文化、東山文化があった。桂キャンパス周辺には国際日本文化研究センターなど多様な施設があり、先端技術・伝統文化・芸術の融合による京都Neo 西山文化を創成できるのではないか。

経済産業省中小企業庁長官 福水健文

中小企業にとってポイントは2つ。まず消費者が何を求めているかを考える。コスト、機能、リスク管理などで競争力をどうつけるか。2つ目はスピードある変化で、具体的にはIT活用、産学官連携による新しいビジネスモデル構築などである。

文部科学省研究環境・産業連携課長 田口康

国際競争力のある日本型の産学官連携システムを構築しなければならない。産学官連携によるイノベーション創出は技術、教育、経済、社会保障、環境、男女共同参画、少子高齢対策、地方再生などあらゆる分野で必要。

経済産業省大学連携推進課長 吉澤雅隆

地域には、多様な地域資源、多様な研究人材と研究機関、グローバルトップ企業等まだまだ大きな潜在力が存在。地域イノベーション創出のためのキーワードは「集中」「連携」「オープン」の3つ。大学と連携した産学連携の拠点となる施設の整備(集中)、大企業等との連携による中小企業の事業化支援(連携)、大学等の試験・研究機器の地元企業等への解放(オープン)等を進めていく。

  【第2部 パネルディスカッション「 ものづくり・知・インフラ」で群馬ブランドの確立】
サンデン株式会社技術本部長 清水秀彦

グローバルな成長への求心力を高めるため、創業の地である群馬県伊勢崎市寿町エリアを「サンデングローバルセンター」と位置付け、新たな研究開発拠点として活用する。9月にその中核である技術開発センターを開所するほか、企業文化を発信する文化館、歴史を保存・展示する歴史館も設置する。

群馬県工業振興課長兼群馬産業技術センター所長 中山勝文

あらゆる機会を活用して「仕事の誘致」を推進する。柱は販路開拓の支援と地域産業の振興。今年11 月、トヨタ自動車グループの「新技術展示商談会in トヨタ」に県内50 社が初出展する。

科学技術振興機構審議役 小原満穂

JST は、大学や公設試験研究機関の研究成果を活用して地域を元気にするため、利用しやすいさまざまな技術移転プログラムを提供している。「地域ニーズ即応型」は中小企業のもつニーズに対して、公設試等のシーズを活用した研究開発を進めることで新産業創出、地域活性化を目指す。

群馬大学副学長・社会情報学部教授 富山慶典

全国から群馬に来ていただき滞在して学ぶ交流型生涯学習「地域アカデミー」を10 月に計画している。キャッチフレーズは「医(い)衣(い)湯(ゆ)で心身脳をリフレッシュ」。大学、地域双方のブランド向上と宣伝効果が期待できる。

群馬大学共同研究イノベーションセンター教授 須齋嵩(司会進行)

群馬に住みたい、工場を建てたい、群馬の商品を買いたいというような地域ブランドづくりをしなければならない。国をリードする多くの為政者を輩出しブランド力があるが、知名度はまだまだ低い。こうしたことを踏まえて、国内・海外の企業等の誘致を考えることが必要。


最後に、一部の講師らがこの日の感想を述べ、総括を行った。この時の松重氏の発言が注目を集めた。ポイントは [1]台湾はワンストップサービスで成功した。日本では、例えば進出企業に対して県組織は土地、水、産業振興などさまざまな部署が別々に対応しているが、検討の余地がある [2](産学官連携の意義を説く)講演、議論だけでなく、具体的な提案をすべきである [3]異端がいないとイノベーションは創出できない [4]今日は若い人の話が出てこなかった――の4つ。

どれも示唆に富む内容で、会場の空気が引き締まった。続いて発言した群馬大学の鈴木守学長も松重氏に賛意を示し「来年は方向性を出す必要がある。その方向と直接関係ない人も参加するようにしたい」と語った。尾身氏は冒頭の講演で、こうした会議がマンネリ化することを戒めていたが、総括のなかでも「具体的な形にする段階にきたな、と思う」とあらためて述べた。

(本誌編集長:登坂 和洋)

第4回
群馬産学官連携推進会議
開催日:2008年6月9日(月)
会場:前橋商工会議所(群馬県・前橋市)
主催:群馬大学、前橋工科大学、前橋商工会議所