2008年9月号
特集  - ベンチャーの法則
応用研究への夢と事業化の責務
顔写真

遠藤 弥重太 Profile
(えんどう・やえた)

愛媛大学 理事(学術・国際交流担当)・教授
先端研究推進支援機構長
無細胞生命科学工学研究センター長
株式会社セルフリーサイエンス 取締役


株式会社セルフリーサイエンスは愛媛大学発のバイオベンチャー企業である。同大学の遠藤弥重太教授の開発した「小麦胚芽無細胞タンパク質合成技術(ENDEXTRテクノロジー)」を事業化するために、2002年7月、遠藤教授、愛媛大学、ベンチャーキャピタルなどが出資して横浜市に設立した。

この技術は、タンパク質合成阻害因子を除去した小麦胚芽抽出液(WEPROR)にアミノ酸などの基質と目的mRNAを加えるだけで、微生物から高等生物、さらには人工タンパク質に至るまで安定して効率的にタンパク質を合成するものである。

この合成技術は世界的に注目され、国内外でタンパク質の機能や構造等の基礎科学から、医薬品候補の探索、ワクチン候補の探索等の産業分野に至るまで幅広く活用されており、ポストゲノム時代のプラットフォーム技術とされる。

同社の事業の柱は2つ。まず、タンパク質合成試薬である小麦胚芽抽出液、ベクター類、合成用バッファーやそれらをコンパクトにパッケージ化したタンパク質合成キットの製造販売。2つ目は、全自動タンパク質合成装置*1の開発販売である。このほか、ENDEXTRテクノロジーを使った約500-600種類/月のタンパク質の生産受託や、がんや感染症の薬剤標的タンパク質の探索やハイスループット化合物スクリーニング技術の開発受託、それらのライセンスアウトも行っている。

前期年間売上高は3億3,000万円余り。大学等のアカデミア向けが約60%、製薬企業向けが約40%だが、製薬向けの比率が年々上がってきている。国内外の比率は半々で、北米が大きく伸びた。同社は早くから海外市場の開拓が重要と考え、2005年に米サンノゼの日本貿易振興機構(JETRO)インキュベーション施設内に営業・技術サポート拠点を設置し、海外展開を模索してきた。現在は、米国Emerald社との販売提携へと形を変え、共同販売体制により市場開拓を活発に行っている。今年度からCambridge Isotope Laboratories社との販売提携をスタートさせ、NMR市場の開拓を足掛かりに、欧州市場の開拓を本格化させる。

会社設立以来、ほぼ増収基調。年次決算では収益を生むまでには至っていないが、前期第2四半期から月次決算で黒字基調が続いており、展望が開けてきた。本年度は、通期黒字化を目指す。

転機は昨年7月、本社・研究部門を横浜から愛媛大学内に移したこと。これと並行して、国内、海外向けと分けていた営業部門(横浜事業所)を統合し、効率化を進めた。改善の余地はあるが、情報の共有を極力行い、地理的には離れたが研究と営業の一体度が増した。

尾澤哲社長は「愛媛大学は無細胞タンパク質合成研究のメッカ。この技術のアドバンテージを活かしたマラリアワクチン候補の探索、バイオマーカーの探索、がんの薬剤標的の探索や自己抗体プロファイリングなど、より医療・産業分野に近いフィールドでの研究も活発。共同研究を進め、試薬、全自動タンパク質合成装置に次ぐ、第3の柱を加えたい」と述べている。       (本誌編集長 登坂和洋)


—セルフリーサイエンスの設立は2002年7月ですが、事業化は先生ご自身のお考えですか。

遠藤  試験管の中で生き物を使わずに化学反応を起こしてタンパク質をつくる、その基本的な技術ができたのが2000年です。その論文を出したら、三菱化学の海外戦略部長の名取さんという人が会いに来て、事業化を勧めてくれたのがきっかけです。その人は理化学研究所発の遺伝子に関するベンチャー企業にかかわっていた。いろんな生き物からcDNAをとって、つまり、タンパク質をコードする遺伝子をとってライブラリーにするビジネスです。完全長cDNAを何万種もそろえていた。その遺伝子を何に使うかという時代だったんですよね。1つはDNAチップという使い道があるとかいう話だったが、われわれの技術は、その遺伝子を放り込んだら、次の日にはタンパク質が何ぼでもできます。そういう網羅的な合成もできる、大量につくって構造解析もできる、機能解析もできる…。

—だから、この日本がリードしていた遺伝子資源とタンパク質合成技術の2つがタイアップすれば活用の幅が広がる。

遠藤  2つの要素技術を合わせればね。僕のこの技術も事業として立ち上げて、それをタイアップしたら、生き物を使わないでバイオの研究ができる。安く、しかも日本独自の、ということなんですよ。自由自在にタンパク質ができる、それを製薬会社等々を対象にビジネスに持っていこうということだったと思います。

研究成果事業化の夢

—それ以前に、遠藤先生の中では、ご自身の研究成果を事業化しようという発想はなかったのですか。

遠藤  ないではないんですよ。私は40歳ぐらいのときから、研究も楽しいんだけども、何かのネタがあったら会社をやってもいいなと。ただし、自分は経験がないし、そういう状態ですよ。2000年に最初の論文を発表して、最初に接触してきたのはロシュグループでした。発表から1週間ほどでした。ドイツから3 人、僕のところに来ました。ロシュは大腸菌による抽出液を使った試験管のタンパク合成法っていうのを売り出して1年から1年半たっていました。僕のパテントが欲しいというんですよ。彼らは、彼らが開発した大腸菌の細胞タンパク合成法に限界があることを既に知っていましたのでね。だから、高等生物からつくった、タンパク質の合成システムが必要だということで、僕のとこへ即近づいてきたんですね。ロシュが高額な値段で売ってほしいと言ったときには、心が動きましたよ、僕は。そのほうが楽でしょう。

だけども、その名取さんの説得だけでなく、大学側も、ぜひ愛媛大学発ということで日本でそのベンチャーを立ち上げてくれんかとということだったんですよ。半年ぐらいで会社をつくった。

—先生はその会社の経営のかじ取りには直接かかわっていらっしゃらない。

遠藤   直接はやってません。経験もないし。

写真1

株式会社セルフリーサイ
     エンス代表取締役社長
     尾澤 哲氏

—よく大学発ベンチャーで、大学の先生が実際に社長というか、かじ取りをしているところもあるんですけど、なかなか難しい。

遠藤  そういう能力がある人もおるかもしれんけど、そんな経験はないのが普通でしょう。だから、僕はもう初めから、もちはもち屋にと。僕はそれを支える技術開発だとか、あるいは、顧客の研究者に技術の優れた部分、限界や応用についてちゃんとした説明するとか、講演するとか、そういう部分ですね。

本社を横浜から愛媛大学内に移す
写真2

               全自動タンパク質合成装置
                    卓上型ProtemistR DTⅡ




写真2

     全自動タンパク質合成装置
          ハイスループット機
          GenDecoderR 1000

—セルフリーサイエンスは横浜で創業し、営業を展開してきましたが、昨年、本社を愛媛大学内に移しました。第2創業的な意味で、もう一度研究からやるという意味もあるのですか。

遠藤  なぜ、松山で創業しなかったのか。われわれはこの技術について完璧に自信を持っていますけど、これを世に広める、そしてビジネスにつなげるというときに、やっぱり都じゃないと。つまりそういうことをやっている人が多いところじゃないと話にならない。愛媛でやったって、買う人は誰もおらんわけですよ。東京でやると、海外からいろんなビジネスで来た人が、ついでに寄って見ていってくれるという期待が持てる。さらに、人材の確保の問題です。田舎には、外国語が堪能でビジネスもできるバイオの専門家など1 人もいません。だけど、東京都内はちょっと高過ぎるんで、横浜にベンチャーのための施設ができたので借りて入るということになったわけですね。

で、実際に、海外も含めて本当にたくさんの会社が来てくれました。日本にかなり多くの取引先を持つ海外企業の人も、東京へ来たときに、ぱっと寄れるんですよね。ビジネスだけでなく、技術も広がってきました。だから、それは大成功だった。この技術がどのぐらいのものかということを、まず知ってもらって、試してもらってということで、第1 段階としては、思惑どおりいったという面があります。

横浜市は安いといってもそんなに安くないですよね、地方と比べたら。横浜の営業の前線の機能を保ちつつ、本社の本籍地を松山に持ってきたということです。これもテクニックですよ、そういうシナリオでいったわけです。

大学発ベンチャーへの地元「産」「官」の期待

—愛媛大学は2003年4月、遠藤先生を長とする無細胞生命科学工学研究センターを設立し、現在、10人の研究者(教員)で取り組んでいる。また、同センターは2003年から毎年、「プロテイン・アイランド・松山 国際シンポジウム」を開催。このシンポジウムは2回目からは愛媛県、松山市、松山商工会議所との共催であり、大学および地域の期待が大きいわけですね。とはいえ、大学から見ると、登記上の本社をどこに置くかというのは非常に大事なこと。県とか市の立場からしても、松山発のベンチャー企業といっても、本社が横浜にあるのと、こちらにあるのとでは、支援の力の入れ方が違います。

遠藤  おっしゃるとおりで。松山市の中村市長は横浜の中田市長と若いときから親しいんだそうですよ。それで、よく会うらしいんだけど、「中田市長から、セルフリーサイエンスの本籍地は横浜だよネ、って言われる」と言うんですね。だから彼は、できることなら本社を松山へ持ってきてくれたらありがたいという思いは強かったと思います。

—愛媛大学や松山市のホームページを見ていたら、松山の中村時広市長とサイボウズ株式会社の青野慶久社長と愛媛大学の小松正幸学長の鼎談(ていだん)があり、これが非常に面白い。インターネット用のソフト開発などを行っているサイボウズは東証一部上場、2008年1月期売上高は約40億円、連結で約120億円です。松山市で1997年に創業した当時はもちろん無名のIT企業だったから、人材が集まらないということで、創業地を捨てて東京へ出ていかざるを得なかったようです。

遠藤  同じ理由がありました、われわれが最初、首都圏に出たことにも。われわれのビジネスは科学のこの分野がわからなきゃいかんのですよね、ある程度。それと、外国語ができないと。先ほども言ったように、両方できる人は首都圏だったらおるんですよ、結構。

東京はノイズが多過ぎる

—IT特有の問題かもしれませんが、この鼎談のなかでサイボウズの青野さんは、「東京のIT企業の多くは米国の見よう見まねで、日本は世界のトップになれないと思う」と言っている。同社は創業地の松山市と愛媛大学のバックアップで松山市に開発拠点をつくり、地域に密着して、やりたいことを10年、20年続けて世界に通用するものを出していきたいという。イメージで言うとシリコンバレーではなく、トヨタだと言うんですね。非常に面白い発想です。イノベーションは東京からは出てこないのでしょうか。

遠藤  うん、なかなか出にくい、そうだと思う。だけど、やっぱりNHKの紅白に出ないと芸能人は売れんのですよ。そういう面として、まず本社もみんな晴海に持っていって、いい人も集めて、わっとやって、一応そうなったら、ゆったりとユニークな研究とか、事業ができるところがいいと。見かけ上は、かなり似ていると思いますよ。しかし、根本的には違っている。トヨタのビジネス相手は一般の人で、自動車のなんたるかはみんな知っており、市場が確立しているのでベンチャーではない。多くのベンチャーは、市場づくりから始めないといけないのです。

確かに、東京のような雑多なところではノイズが多過ぎて、どれが本物の音やわからんところがある。ところが、地方から見ていると静かですからね。

地方で国際的研究を続ける意味

—遠藤先生は幾つもの賞を受けられていますし、国内外で毎年多くの招待講演をなさっています。特に、海外での評価が高く、昨年は、愛媛大学が豪州の研究機関などと取り組むマラリアワクチン研究に米ビル・ゲイツ財団から多額の資金を得ています。先生は東京とか海外に研究の拠点を移したいとお考えになったことはないんですか。

遠藤  ないですね、それは。私は流行に乗らんタイプなんですね。人と同じ道は歩きたくないタイプ、何も残ってないからね。東京へ行って、1 万円拾おうと思ったって無理でしょう、道路で。松山だったら拾えるんですよ。100万円でも。人がまだ通ってない道がいくらでもあるから。

研究っていうのは、われわれのこのベンチャーにしてもいろいろステージがあるんですよ。今は一番初めのステージで、そういう技術を確立して、小さなビジネス。その次は、いろんな分野の研究者と共同研究。それは別にそこへ研究の場を移す必要はない。次のアプリケーション、テーラーメイドの医療に向かったりとか、新規酵素、産業用の酵素を開発するとか、いろんな道があると思います。

ただ、この技術はあくまで今の段階では、単なる1 つのツールなんですよね。これをスコップに当てはめると、遺伝子という世界中が持っているすごい資源を掘り起こすために使うということなんですよね。

遺伝子産物をタンパク質とした場合、タンパク質はこういうアミノ酸からできている。ここまではわかるんですよ。けれど、それがどういう機能を持っているかというのは、タンパク質にしないとわからないんですよ、原理的に。言葉で言えば、ゲノム研究の成果によってスペル(遺伝子がコードするタンパク質のアミノ酸の結合順序が判明)は分かったんだけど意味(機能)がわからないというのが、ゲノム時代なんです。意味を解明するには、タンパク質をつくって、その機能を解析する、私らの技術を使って、ゲノムワイドに、網羅的にね。で、その遺伝子の意味するところを1 つ1 つ解明して辞書をつくる、遺伝子辞書を。その辞書を片手に、DNAに何が書いてあるかという文章を解読していく、こういう方法なんだけどね。

その解読というのは、病気とか、それも人だけじゃなくて、家畜、魚、植物などいろんな生き物が対象です。

応用の共同研究に取り組む

—研究分野にもよりますが、「基礎」をやっている研究者が一定の成果を出すと、その先は別の人に任せて、基礎的な領域でまた研究を続けるケースが少なくありません。

写真4

遠藤弥重太 教授 (愛媛大学提供)

遠藤  いやいや、それは任せられないんですね。このバイオっていうのは広い分野があるでしょう。学部からいっても、すべてに入り込んでいるような分野ですから。さらに、このような使い道がある、という証拠をわれわれが見せないと使ってくれない時代です。タンパク質をどうやってつくるか、つくるときにどういうふうな形のタンパク質、印をつけるかだとか、どうやって分析するかとか、すべてが単独でなく、深くかかわっているんですよ。

例えば僕らはマラリアワクチンをつくるための共同研究に取り組んでいます。これは世界の願いですけど、マラリアはインフルエンザと違って、ワクチンを簡単につくれないんです。インフルエンザウイルスなどは、ニワトリの卵に接種すると簡単に増えるので、これを集めて感染しないような処理をすればワクチンの出来上がりです。しかし、人に感染するヒトマラリアは、人でしか増えないし、ヒトの培養細胞を使っても増殖しない。だから、組み替え法などを使って、1 つ1 つのマラリア遺伝子からタンパク質をつくることから始めないといけない。だから、何十年もみんな研究している。そうしているうちに、マラリアの遺伝子が6 年くらい前に解読された。タンパク質を片っ端からいっぱいつくって、マラリアの患者、しかし発病していないぴんぴんした患者たちの血液と混ぜていったら、そのマラリアのどのタンパク質に対する抗体を持っているから元気だということがわかりますね。そうしたら、そのような不顕性患者血液と反応するタンパク質が、マラリアワクチンキャンディデイトになるんですよ。

このような研究を、豪州、米国のグループの大学、NIH や海軍とも今、われわれはやってます

あと、ウイルスが原因で起こる病気がありますね。エイズだとか、C型肝炎とかいろいろ。治療中にウイルスがどんどん変異していくから、つまりウイルスがつくるタンパク質がちょっと違った構造になっているから、そのうちに薬が効かなくなる。そこで、治療の始めから治療中に、患者の血液からPCR法でそのウイルスをとってきて、それからタンパク質(ウイルスの酵素)をつくれば、治療前どう性質が違っているか(ウイルスの変異)と、つまり薬が効くかどうか全部チェックできて、個々の患者に最適の治療法が見つかることになる。これはまさにテーラーメイドなんですね。それから精密な病気の診断法のための新規なバイオマーカーの検索とかもやっていますね。

製薬会社とがんに対して、もっと副作用が小さい、そして有効な薬ができないかということもやっている。そのがんのどの遺伝子産物、つまりタンパク質が原因でがんになっているとか、それに結合する薬を探す研究手法の開発とかもやっています。

—全部基本的なところにつながっているんですね。

遠藤  やっぱり僕らが一番この方法のいいところを知っているから。しかし限界もある、応用に当たってその限界をわれわれは克服していかなきゃいかん面がある。今言ったのは人ばかりだけども、植物だって、魚だって、家畜だって、さらにバクテリアだってある、対象としてね。

後ろ姿を見せて学生に気付かせる
写真4

無細胞生命科学工学研究センター(CSTRC)
     (愛媛大学提供)

—大学のシーズというか、若い研究者に関して言うと、東京から離れている地方で研究するうえで、何が一番大切ですか。一昔前とは環境が変わり、大学経営も大変です。

遠藤  大変だ、はい。試験にいい点を取って、つまり教科書に書いてあることを短時間で理解して暗記して、それを試験のときにアウトプットして出す。このすごく優れた能力と、教科書がない真っ白なキャンバスに独自の絵をかける能力というのは別なんですよね。ペンキ屋さんと画家の違いといってもいいかもしれない。まねをするほうは、日本人は特にうまい。教科書に書いてあるものじゃないと信用しないし、それが金科玉条、そういう時代がこの2000年間というものずうっときた。しかし、ここまでくると、政治、経済にしても教科書はない。マニュアルがない分野は非常に不得意ですよね。

地方には後者のような、つまり白いキャンパスに自分なりの絵がかける若者は、たまにおるんですよ。そういう能力については、自分自身もわからんことが多いんですよね。だから一度やってみて、面白かったらその分野を楽しむ。始めの知識が最小限でも必要に応じて教科書を読めばいいわけでね。

—そういう人を発掘して育てるような環境が必要ですね。

遠藤  それが一番。私の一番大事な仕事です。後ろ姿を見せて、研究を通して、学生に自分自身で気付かせる。自分で気が付くというのが一番です。大学ができることは、そのような環境を整える(人材を整える)、これしかないんですよ。

まあ、マニュアルどおりのことをきちっとやれるという、素晴らしい能力を持った人、これは官僚としてはすごいシステムだと思います。先進国や先人に追いつくまではね。だけど、ほぼ近づいてきて借りるマニュアルがなく独自のものが要る時期になったら、このシステムはもう無力を通り越して、百害あって一利なしだと思います。日本の課題は、そういう自他共に優等生と言われていた人たちが、何もかいていないところへ絵をかけるような人を排斥して刹那(せつな)的な安心感を得たいという、蔓延(まんえん)している風潮にいかに風穴を開けていくか、ということだ思うんですよ。

—どうもありがとうございました。

聞き手・本文構成:登坂 和洋(本誌編集長)

株式会社セルフリーサイエンスの概要
     本社所在地:愛媛県松山市文京町3 番 愛媛大学ベンチャービジネスラボラトリー
     URL:http://www.cfsciences.com/
     代表取締役社長:尾澤 哲  
     設立:2002年7 月資本金:2 億 4,200 万円従業員数:16 名

*1
同社の主力全自動タンパク質合成装置である「ProtemistR DTⅡ」は、最大6種類の標的タンパク質を20時間で全自動合成・精製する能力を持つ。6種類のモデルタンパク質での値であるが、6種類それぞれ150-300μg/ウェル(80-90%精製度)、6種類同じタンパク質であれば、約1-2mgの合成能力を持つ。スクリーニング用に少量合成スケールモードも搭載しており、機能の解析やタンパク質のアミノ酸配列異型を複数合成し可溶化の検討などにも威力を発揮する。タンパク質合成そのものは、同社のウェブサイトを通じて公開している一定のプロトコルを再現すれば、全自動合成機がなくともタンパク質合成は可能であるが、ProtemistR DTⅡを用いることにより、必要な時に、フレッシュなタンパク質を、毎回同じ品質で、簡便に合成できるという利点を研究者に提供することができる。薬剤標的タンパク質の探索や、化合物スクリーンにおいては、重要な品質特性である。また今年度中に主に構造解析研究者向けにタンパク質100mg超の大量合成可能な ProtemistR Xと、この機器用に単位反応容量あたり合成効率を数倍に高めた新抽出液の上市を目指している。