2008年10月号
単発記事
環境省
地域を中心とした科学技術に関する取り組みについて

環境省 総合環境政策局
総務課 環境研究技術室


本年7月の北海道洞爺湖サミットで示されたように、2050年までに世界全体で温室効果ガス排出量を少なくとも半減することを目指す必要がある。そのためには、化石エネルギーへの依存を断ち切り、低炭素社会へ移行していくことが不可欠である。平成21年度においては、200年後の将来世代からも時代の転換点として評価されるように、自然共生社会、循環型社会と統合した低炭素社会づくりに向けた本格的な第1歩を踏み出すこととなる

低炭素社会の実現に力点

このため、平成21年度には、「低炭素社会・日本、低炭素の世界の実現」「自然と人間が共生する社会の実現」「資源を繰り返し活かす循環型社会への転換」「安心して暮らせる安全で豊かな環境の確保」の4つの視点から、持続可能な社会を構築するための施策を強力に推進する(図1)。

環境省における平成21 年度科学技術関係予算案は、約406 億円となっており、前年度に比べ約75 億円の増となっている。この中でも特に、地球環境研究総合推進費、温暖化対策技術開発事業等の低炭素社会の実現に資するための経費に重点化した予算案となっている(図2)。

産学官連携による地域の環境問題解決

環境省では、地域における科学技術に関する取り組みとして、環境保全に関する意欲と能力溢れる豊富な人材を活かし、各地域の環境保全活動の輪を全国に広げ、力強く後押しすることにより、地域が持つ本来の力が十分に発揮された元気な地域社会の実現を目指している。

具体的な取り組みとしては、平成19 年度より開始した「地域の産学官連携による環境技術開発基盤整備モデル事業」が挙げられる。本事業では、地方環境研究所が中核となり、地域の技術シーズを活かした産学官連携による地域の環境問題解決と、地場産業振興を同時に図るものである(図3

平成20 年度の取り組み例としては、鳥取県において未利用廃材床からの工業原料生産システムの研究を実施している。鳥取県衛生環境研究所を中核に、鳥取大学工学部、日南振興株式会社、株式会社エムズプランが連携し、循環型社会実現のため、処理に苦慮している使用済みキノコ菌床をバイオマス資源として、発酵技術によりエタノール、L- 乳酸を生産するシステムの開発を行っている。他に3案件を実施しており、本事業では、平成21年度の予算案では4,400万円の規模で研究開発を推進することとしている。

競争的研究資金による地域の研究支援

さらに、環境省では社会的要請等を踏まえ、優先的に開発するべき環境技術分野を特定し、国立試験研究機関、独立行政法人および民間企業等から研究・開発課題を公募し、研究等に要する費用を助成し、環境研究・技術開発の推進を図る環境研究・技術開発推進費(競争的資金)に取り組んでいる。この環境研究・技術開発推進費では、特に地域の独自性・特性を活かした研究開発を支援するため「地域枠」を設け、総合科学技術会議連携施策群「地域科学技術クラスター」対象施策の成果である技術シーズや、地域の公的試験研究機関等が連携を図る共同研究プロジェクト等を募集・実施している(図4)。

平成20 年度の取り組み例としては、兵庫県において有機フッ素化合物の汚染実態の解明、処理技術の開発を実施している。兵庫県立環境科学研究センターを中核に、滋賀県・大阪市・大阪府・神戸市・東京都等と連携し、琵琶湖・神戸沖の有機フッ素化合物の汚染実態を把握し、その汚染トレンドの解明、処理技術の開発処理を行っており、他に1案件を実施している。

環境省では、平成21 年度にこれらの取り組みを含め、地域での産学官連携の取り組みに対し、継続的に支援していくこととしている。