2009年1月号
編集後記

景気低迷もあって、新規事業がうまく立ち上がらない企業から「研究開発に手を出すのじゃなかった」という声を何度か聞いた。しかし、日本が国際競争に生き残るには、一歩先を行くイノベーションを引き起こすしかない。頭では分かっているが、長期戦略にかける余裕が乏しい企業が多いのだろう。

そんな中、充放電評価装置等で急成長する東洋システム(福島県いわき市)の庄司社長は「当社の経営哲学は『エネルギー産業における技術開発で世界に貢献する』。当社のエンジンは研究開発による技術力。研究開発を止めてはいけない」と語る。こうした企業が増えることがわが国の地域イノベーションの鍵であることは言うまでもない。

(編集委員・西山 英作)

科学技術創造立国を目指すわが国にとって、今回の金融クラッシュは、好機ととらえるべきと考える。残念ながら、今回のクラッシュに対して日本の産学官からその警鐘を鳴らした賢者は少なかった。これに対して、課題先進国といわれるわが国が産学官を利して築こうとしている社会は、今後の世界的なモデルを暗示していると思われ一矢を報いる可能性を有す。

その成果を顕在化させるために、果たして日本政府はそれを擁護できるか、次回の総選挙と平成21年度の予算で解が出てくるものと思われるが、チェンジを選んだ米国民の偉大さ同様に日本人が革新を選択することをひそかに期待している。少なくとも、本ジャーナルからはその意志を伝えることができる記事を発信し続けることができればと考えている。

(編集委員長・藤井 堅)

特集「一極集中を打ち破れ」は、科学技術を活用して地域振興に取り組む各地の動きにスポットを当てた。大阪大学の金井教授は、画一化を脱し地域の資源に立脚した地域振興が行われるようになったと、重要な指摘をしている。大上段に振りかぶった地域イノベーションではないかもしれない。その変化は小さいが輝かしい一歩なのだ。地域おこしが成熟化してきたことを物語る。当ジャーナルはこうした取り組みを掘り起こしていきたい。

世界経済危機―産学官連携の世界にも100年に一度の津波は確実に押し寄せる。技術移転、ベンチャーなどを直撃するし、財政難が各分野を締め付ける。こうした現象にどう切り込むか、厳しい目で当ジャーナルを見守っていただきたい。本年もよろしくお願い致します。

(編集長・登坂 和洋)