2009年4月号
巻頭言
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村井 仁 Profile
(むらい・じん)

長野県知事




産学官連携により「信州型スーパークラスター」の形成を目指す

長野県は明治時代から生糸の生産が盛んとなり、当時は製糸王国として知られていました。化学繊維の発明普及と戦争による市場閉鎖に伴い製糸業は衰退しましたが、その一方で、光学機器、時計など疎開してきた工場によって基盤技術が地元に根付いたことから、諏訪地域に代表されるカメラ、腕時計、オルゴールなどの精密機械工業が発達したほか、県内各地に電気機械、一般機械、輸送用機械などの加工組立型産業が生まれました。

現在では、全国でも加工組立型産業が集積した地域となり、冷涼な気候や美しく多様性に富んだ自然の中、個性豊かな地域文化が形成されております。

しかしながら、近年の経済活動のグローバル化、社会環境の変化等が地域経済にも大きな影響を与え、地域の企業活動においても国内外の経済・社会情勢や市場変化などへの迅速な対応が求められています。

そのため、長野県では国内外との競争に勝ち抜くための力強い新たな戦略が必要になっているとの認識の下、平成19年3月に「長野県産業振興戦略プラン」を策定しました。

このプランでは「つくる」「売る」「育てる」「支える」の4つを重点支援することとしており、産学官連携を主体とした8つの重点プロジェクトを推進しております。

特に「つくる」の最先端分野は、これまで県内で培われてきた優位性のある技術を基に、超精密・超微細部品を組み込んだ高度なデバイス・モジュールを生産する「信州型スーパークラスター」の形成を目指しております。具体的には、財団法人長野県テクノ財団と長野県工業技術総合センターの機能を強化し、産学官連携による研究開発プロジェクトに積極的に挑戦しております。

大型プロジェクトとしては、平成19年より文部科学省から知的クラスター創成事業(第・期)の採択を受け、県内企業や信州大学、県工業技術総合センターなど産学官が一丸となって、ナノテクノロジー関連の実用化を目指した高度な技術開発に取り組んでおります。また、成果の普及とナノテク・新材料の活用企業を拡大するため「ナノテク・材料活用支援センター」を設立し、コーディネータによる情報提供、新材料の仲介等の活動を行っております。

最近の世界的景気後退の中で、これらは次の県産業をけん引する芽となる取り組みとして期待されております。

今後も産業振興戦略プランに基づき、産学官が一体となったさまざまな産業振興策に取り組み、地域産業の活性化を進めてまいります。