2009年5月号
特集  - 育て新人 コンテンツ産業新潮流
日本初「アニメの教科書」 人材育成を目的に産学公連携

榎本 剛士 Profile
(えのもと・たけし)

株式会社みずほ銀行
ビジネスソリューション部
ニュービジネスチーム 参事役

2008年12月、東京都とアニメ業界、さらに教育機関が連携して日本初の「アニメの教科書」を制作した。実践的な知識、技術だけでなく、歴史も盛り込んだ。人材育成が狙いである。

日本のアニメ産業は、質の高い作品を数多く送り出すなど国際的にも高く評価されているが、近年、若手クリエイターの人材不足が課題となっている。これまで体系的な教育カリキュラムも未整備であったとの指摘もあり、また業界全体で人材育成に取り組む機運に乏しかった。



        表1 アニメ人材育成・
             教育プログラム製作委員会メンバー

株式会社アーイメージ、アドビシステムズ株式会社、オートデスク株式会社、株式会社サンライズ、CG-ARTS 協会(財団法人画像情報教育振興協会)、株式会社シンク、杉並アニメーションミュージアム、株式会社STUDIO4℃、株式会社セルシス、財団法人デジタルコンテンツ協会、デジタルハリウッド大学・大学院、株式会社手塚プロダクション、東映アニメーション株式会社、東京都、東放学園映画専門学校、凸版印刷株式会社、日本工学院専門学校、日本電子専門学校、有限責任中間法人日本動画協会、練馬アニメーション協議会、株式会社HALFH・PSTUDIO(ハーフエイチ・ピースタジオ)、株式会社ぴえろ、有限責任事業組合未来創造フォーラム
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こうした状況に危機感を抱いたのは東京都やアニメ業界。東京都は、アニメなどコンテンツ産業を東京の情報発信力を高める産業と位置付けている。地域の産業振興という視点から、東京都とアニメ制作会社、さらに同業界に人材を輩出している教育機関による、産学公連携の「アニメ人材育成・教育プログラム製作委員会」(表1)が平成19年8月に設立された。

そして昨年12月、日本初の試みとして、現場で必要な知識やスキルを学べる本格的な教本「アニメの教科書」(写真1) を作成した。東京都が資金を拠出し、日本動画協会のほか、制作会社やアニメ専門学校などのアニメ業界のプロたちが作成にかかわった。

この教科書は、アニメ制作の基礎知識から、最新アニメーションの技法、アニメ産業の歴史まで、若い世代に求めている基本的な知識や技術が体系的にまとめられている。その内容は実践的なものである。本年度からアニメ専門学校などで活用されるとともに、すでに一般向けにも販売され、アニメ業界を目指す学生や若手アニメーター等による利用の期待も大きい。

写真1

写真1 アニメの教科書

全4編の内容は、アニメ産業の歴史やアニメビジネスの基本知識からなる「第1編 日本のアニメ産業」、アニメの制作フローを解説した「第2編 アニメの制作」、アニメ作画や背景美術の基本を解説した「第3編 作画の基礎/仕上・美術」、有名作画監督の原画等が収納されている「第4編 原画素材集DVD」となっている*1

*1
4編セットで10,290円(税込み価格)。東京アニメセンターオフィシャルショップにて販売中。問い合わせ先 03-5297-7470(受付時間:火~日曜日11:00~18:30)