2009年9月号
特集  - 「起業」の心得
株式会社コンティグ・アイ 代表取締役
鈴木 繁三 氏
バイオエタノールは「エネルギーの地産地消」戦略
顔写真

鈴木 繁三 Profile
(すずき・しげぞう)

株式会社コンティグ・アイ
代表取締役


聞き手・本文構成:登坂 和洋 Profile

(本誌編集長)


岐阜市の株式会社コンティグ・アイは土壌・地下水汚染修復などを手掛けるベンチャー企業である。岐阜大学の複数の研究者のシーズを活用している。昨年末に三重県亀山市にバイオエタノールの実証プラントを稼働させた。小さなプラントで「エネルギーの地産地消」を目指す。

―土壌汚染対策として会社を起こしたそうですね。

鈴木  会社設立は2003年11月。土壌汚染対策法が施行され、その市場が広がりそうだったので、現在当社の役員でもある、岐阜大学の佐藤健、高見澤一裕両教授の微生物浄化(バイオレメディエーション)に関する研究成果を活用しました。私は文系の人間で広告関連の事業を経て、岐阜大発の医療系ベンチャーを経営していましたが、医療費削減や業界上のさまざまな障壁があったため、今後成長が予測される環境系へ転換しました。

例えば、汚染物質の1つテトラクロロエチレン(PCE)の場合、20数種の分解菌が存在することが分かっています。当社の特徴は、その対象となる土壌の中にどの分解菌がどれくらい生息するか調べる検査キットを持っていることと、分解菌の種類や土質によって栄養剤を調合できることです。分解菌を活性化させる栄養剤には原則として人間が口にしても安全な食品由来の原料を使っています。さらに、トリータビリティ試験を行うことで、どのくらいの期間で汚染物質を浄化できるかが分かります。これもセールスポイントであり、地方のゼネコンが関心を示しています。

―バイオエタノールの実証プラントが話題を呼んでいます。

写真1

写真1 バイオエタノールの実証プラント

鈴木  岐阜大学の高見澤一裕教授が研究した酵素をもとに当社が事業化しました。昨年12月6日に三重県亀山市に実証プラント(写真1)をスタートしています。

―刈った芝などが対象ということですが。

鈴木  刈った芝に限らず、街路樹の枝や葉、雑草、さらに、飲料メーカーのお茶の出し殻など、セルロース系の成分が含まれるものであれば基本的にバイオエタノールの製造が可能です。まだ実証段階ですが、契約は進んでおり、台湾のバイオエタノールの第3セクターと仮契約までいっています。

―バイオエタノールはいま、注目されていて、産学官のさまざまな研究開発が行われていますが、実証プラントまでつくり、ビジネスという段階まできているケースは少ないのですか。

鈴木  ほかにはないでしょう。だから注目されているのです。問い合わせ、視察も非常に多いです。

―なぜうまくいっているのだと思いますか。

鈴木  ビジネスモデルの違いでしょう。皆さん、大きなプラントをつくりたがるからですよ。ポイントは、ゴルフ場の刈った芝や街路樹の剪定(せんてい)した枝などは一般廃棄物だということです。一般廃棄物は基本的には市町村をまたいで運べないので、大きなプラントをつくったって原料を集めるのが難しい。私どものバイオエタノール事業は当然、小さな製造プラントを考えています。われわれは「エネルギーの地産地消」と言っています。それと、当社は補助金をもらっていませんが、これが良かったと思います。事業展開の自由度が高まり、スピーディーに対応できました。補助金を受けると何らかの制約を受けます。ほかのテーマにもいえますが、少なくとも実証プラントまでは補助金はもらわないほうがいいと思います。

―開発製品にかかわる特許については、例えば「循環式浴槽の超音波殺菌装置」に関する基本特許は、御社と株式会社山武の2者で申請するとのことですが。

鈴木  そうです。当社は研究段階から、組める相手(企業)と機密保持契約を結んでから「こういう研究をしているから一緒にやりませんか、共同特許にしましょう」とオープンにしています。これが当社のビジネスの進め方です。一般的にベンチャー企業はこつこつと研究開発に取り組み、成功して利益を独り占めにするという計画のところが多いのではないかと思いますが、当社は取り組んだ相手と利益を分け合う方針です。研究段階で大手企業と組むことで、事業化への道筋をつけやすいし、販売戦略にもなっているのです。

―ほかの企業との連携を前提としたビジネスモデルには、特許などが基本になりますね。

鈴木  もちろんです。現在の世の中のスピードは特許があっても旬な時期は5年だと考えています。バイオエタノールの事業が注目されていますが、これでずっと当社の事業を支えられるとは思っていません。リードタイムは5年でしょう。だから、5年先をにらんで新しい研究開発を行っています。1年に1つは特許を申請しています。当社は2年前から利益が出るようになりましたが、収益部門をつくっておくと同時に、いろいろな種をまいていろいろな花を咲かせたいと思っています。

―ありがとうございました。

株式会社コンティグ・アイの概要
本社:岐阜県岐阜市
代表者:代表取締役 鈴木繁三
資本金:1,300 万円
事業内容:[1]土壌・地下水汚染修復 [2]土壌・地下水汚染に関する試験・分析・検査 [3]バイオエタノール事業 [4]超音波殺菌装置の販売 [5]環境関連の研究開発