2010年1月号
特集2  - 市町村を元気にする大学の効用
埼玉県本庄市
早稲田大学と映像、環境、スポーツなど多様な連携事業
顔写真

境野 広明 Profile
(さかいの・ひろあき)

埼玉県本庄市 企画財政部
企画課 課長


早稲田大学の2つの大学院「国際情報通信研究科」と「環境・エネルギー研究科」のキャンパスのある埼玉県本庄市は、同大学と映像、環境、スポーツなどさまざまな連携事業に取り組んでいる。

はじめに
図1

図1 本庄早稲田の杜・アクセスマップ

図1 本庄早稲田の杜・アクセスマップ

埼玉県の西北部に位置する本庄市は都心から80km で、上越新幹線、JR高崎線、JR 八高線といった鉄路、さらに関越自動車道をはじめ国道17 号などの主要道路が走る交通の要衝である。東京と上信越方面を結ぶ北関東の玄関口にあたる地域である。

現在、本市では上越新幹線「本庄早稲田駅」を中心とし、早稲田大学本庄キャンパスを含む早稲田リサーチパーク地区や本庄早稲田駅周辺土地区画整理事業を包含するエリアを新たな拠点地域とし、『本庄早稲田の杜づくり~孫子の代まで引き継げるまちを目指して~』と題し、さまざまな主体の協働により、持続可能なまちづくりを目標に事業を展開している(図1、写真1)。「本庄早稲田の杜づくり」では、早稲田大学という高度な教育・研究機関による街のブランド力向上も手伝い、積極的に企業誘致等を進めている。「杜づくりは人づくり」をモットーに、知の集積地として「人づくり」の役割も期待されている。

平成16年に国際情報通信研究科、19年に環境・エネルギー研究科

現在、早稲田大学との連携は、本市にキャンパスを構える2 つの大学院「国際情報通信研究科(以下、GITS)」「環境・エネルギー研究科(以下、WEEE)」を中心に行われている。

早稲田大学と本市とのかかわりは昭和36 年の同大学誘致活動に始まる。さまざまな歴史を経ているが、平成16 年4 月にGITS が活動拠点を本庄市に置いたことにより、連携の機運が一気に高まった。そして、平成17 年5 月、協働連携に関する基本協定書を締結した。この協定は、地域社会の発展や地域経済の振興を積極的に推進し、大学との相互連携により、豊かな地域社会を創造することを目的としている。

写真1  早稲田大学本庄キャンパスを含む早稲田リサーチパーク地区

写真1  早稲田大学本庄キャンパスを含む早稲
     田リサーチパーク地区

次いで、平成19 年にはWEEE が開設し、地域連携のさらなる充実が図られている。「まちづくり」「産業振興」「人材育成」「文化の育成・発展」「研究開発」の5 つを柱とする協定項目に基づく連携事業の実施にあたっては、財団法人本庄国際リサーチパーク研究推進機構(以下、本庄研究機構)が窓口となっている。本庄研究機構は、研究支援事業、地域との連携事業、インキュベーション事業などを実施しており、本庄市、または周辺地域における産学官民連携の潤滑油としてさまざまな役割を果たしている。

さまざまな連携

取り組みの一部をご紹介すると、まず、GITS とは映像を生かしたまちづくりを展開している。最先端の映像技術を擁する早稲田大学芸術科学センターを軸に、本庄拠点地域フィルムコミッションや市民との密着した連携の下に学生が本庄地域を舞台とした映画を撮影するなどしている。また留学生も多いので、留学生と地域の方々との交流も積極的に行っている。

WEEE とは、エコドライブの実証実験や電動バスの走行実験など、環境・エネルギー分野における先進的な取り組みを実施している。

また、近年では早稲田大学が有するほかの理工系分野やスポーツに関連する分野等、幅広い教育研究分野との連携も進めている。「市民一人1スポーツ」を実現するため、早稲田大学特命教授である川淵三郎氏を中心に、「川淵三郎塾」という新たなスポーツ振興策も始まった。そのほか、理工学術院の研究室とは環境ワークショップや、河川調査、教授を招いて職員研修を実施するなど、社会的なテーマから、市民1 人1 人に密接にかかわる問題まで多岐に渡った連携を実施している。

おわりに

これまで述べたように、早稲田大学と本市の多種多様な連携の礎となるのが、「思いの共有」にあると言えるだろう。「大学」と「自治体」はそれぞれ非常に大きくとらえどころのない主体同士である。Win-Win の関係を築くには、一方的な主張ではなく、連携の先に何を見いだすかを、常に情報交換により「共有」し、「共鳴」することが肝要。その思いの共有があってこそ、お互いに実のある連携が実現するのだと感じている。思いの共有が連携の神髄であると思う。

今後も、大学と地域が対話を密にしながら、さらなる発展を目指し、充実した連携をはぐくんでいきたい。