2010年5月号
特集  - 高専 新時代
福島工業高等専門学校
中学生対象のプログラミングコンテスト
顔写真

大槻 正伸 Profile
(おおつき・まさのぶ)

福島工業高等専門学校 電気工学科 教授



福島工業高等専門学校は夏休みに中学生を対象にしたプログラミングコンテストを実施している。まず、土曜、日曜の2日間で「入門」の公開講座を開き、1週間後に2時間内のチーム対抗のコンテストを行う。参加者の中から毎年数名が同校に入学している。

福島工業高等専門学校(福島高専)は平成21 年8月1 日(土曜日)に「第4回中学生プログラミングコンテスト(中学生プロコン)」を開催した。このコンテストは、多くの中学生に福島高専をアピールするとともに、理数系離れが心配される中学生に論理的に考える機会を持ってもらうことなどを目的に企画し、第1 回を平成18 年12 月に開催。第2 回以降は毎年夏休みの時期に実施している。

以前からロボット製作のコンテスト

福島高専では、以前から福島県内の中学生が参加する「中学生ロボコン(ロボット製作のコンテスト)」を実施していたが、平成18 年度から「中学生プロコン」と「中学生デザコン(デザインのコンテスト)」も開催するようになり、以来3 つの中学生コンテストとして軌道に乗ってきたところである。

中学生プロコンは、コンテストの1 週間前の土曜、日曜の2日間で公開講座「中学生のためのプログラミング入門」(参加費無料)を開催し、フリーソフトである十進Basic を用いてプログラミングを体験・実習してもらう。そして1 週間後のコンテストにおいて、十進Basic を用いてプログラミングの力を競う。

公開講座、コンテストともに高専内の情報演習室で行うが、公開講座には毎年30 〜60 名程度が参加し、そのうち20 名前後がコンテストに出場している。公開講座でもプロコンでも、本校のプログラミング愛好会メンバーが大活躍する。この愛好会は高専プロコン、パソコン甲子園等のソフトウエアのコンテストに参加することを主な活動内容とする団体である。

公開講座では、情報処理教育センター教職員と愛好会員が協力してプログラミングの講義・実習を行う。中学生には年齢の近い高専のお兄さん、お姉さんに教えてもらえるということが好評のようだ。

2時間内のチーム対抗

写真1 相談しながらプログラミングを
行う中学生たち

コンテストでは、初級問題(5 点)、中級問題(10 点)、上級問題(20 点)合わせて20 問ほどの問題が出題される。参加者は2時間という時間制限の中で、チーム(1 チームは3 人以内で構成)で相談しながらプログラミングを行い、正解して得た点数の合計によって順位を競う(写真1)。

問題は例えば「一辺の長さa[cm]の立方体を考えます。a を入力しこの立方体の表面積を計算して表示するプログラムを作ってください(初級問題)」とか「図のように、チェスの盤を表示するプログラムを作ってください(上級問題)」(図1)というようなもので、参加者はこれを十進Basic でプログラミングして解き、作成したプログラムを大会本部にメールで送付する。送付されたプログラムは即座に審査され、各チームの正解・不正解の様子もリアルタイムで会場内のスクリーンに表示される。



図1 上級問題のチェスの盤

本コンテストには例年地元の中学生を中心に6 〜8 チームが参加し、おおよそ170 点満点中100 点ぐらいが優勝ラインとなっている。

コンテストが終わると参加した中学生は1 時間ほど休憩し、表彰式に出席する。優勝チーム、入賞チームには賞状、記念品が贈呈され、最後には主催者である本校校長を囲んで写真撮影等を行い、和やかにコンテストが終了する(写真2)。

参加者へのアンケートでは「難しかったが楽しかった」「また参加したい」等の感想が多い。


写真2 表彰式後の写真撮影
(第4回中学生プログラミングコンテスト)

中学生プロコンの参加者の中から毎年数名ずつ福島高専に入学している。平成21 年度の3 年生には第1 回の参加者が、2 年生には第2 回の優勝者が、1 年生には第3 回の準優勝者が在籍している。またそのうちの何人かは入学後プログラミング愛好会員となり、高専プロコン等で活躍しはじめており将来が楽しみだ。この4 年間で「中学生プロコン参加者が入学し、愛好会に入り高専プロコンを目指す。同時に中学生プロコンの公開講座で中学生にコーチをする」といういい流れができつつある。

課題達成型推薦制度

福島高専では平成21 年度入学生から「課題達成型推薦」という制度を導入している。これは学業成績優秀でさらに課外活動などで優秀な成績を修めた中学生を優先して選抜する推薦制度であり、中学生プロコンを含む本校主催の上記3 つのコンテストでの入賞も課題達成型推薦に応募できる資格の1 つとなっている。このように、中学生プロコンは本校の入試制度ともリンクし、優秀な人材確保をしながら発展しているところである。

今後は、e-Learning によるプログラミングの自学自習環境・コンテスト対策等の環境整備、コンテストと入試制度の広報の充実、コンテスト参加中学生数の増加等を目指し、この中学生プロコンを発展させていきたいと考えている。