2010年6月号
特集2  - ライフ・イノベーション
長崎県の官民組織が上海から医療旅行誘致へ
顔写真

小澤 寛樹 Profile
(おざわ・ひろき)

株式会社アンド・メンタル 代表取締役
長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科 教授(精神神経科学)

海外からの観光客を増やす方策の1つとして、健康診断・治療を主目的としたメディカ ル・ツーリズム(医療観光)が注目されている。長崎県内で実証実験が行われた。

長崎県は蘭学以来の西洋医学発祥の地として世界的な医療水準、全国有 数の医療規模を持っている。また、本県は観光資源が豊富で観光立県を目 指している。こうした伝統と条件を生かし、長崎県内の官民が連携して、 中国の上海からのメディカル・ツーリズム(医療観光)の誘致を目標とした 実証実験を、平成21 年7 月から実施した。上海市を対象としたのは、同市 と本県は地理的、歴史的にも長く深い縁を持っているからである。内閣府・ 内閣官房による平成21 年度「地方の元気再生事業」採択事業として行った。

人材養成が課題

事業の実施に当たっては官民各団体から成る連合企業体「ナガサキ・ウェ ルネス・ポート推進協議会」を設立した。基本方針等を策定後、まず本格 的な現地調査に入った。数回に及ぶ現地調査でツアー内容を企画検討し、 催行への協力者、協力団体を確保。12 月初旬に検診を担当するクリニック、 長崎でのツアー催行旅行社の担当者等による上海での事前説明 会を開催。ツアー参加者募集を開始した。



上海説明会

平成22 年1 月に参加への申し込みが9 名に達し、1 月29 日 (金)〜2 月1 日(月)の3 泊4 日の行程を実施した。ツアー行程 内容は長崎市内のリゾート施設宿泊、PET/CT検診、長崎市内 と雲仙等近郊の観光地散策等を含む。ほとんどの参加者は長崎 を初めて訪れるということもあり、変化に富む美しい山々や海、 新鮮な食材を使った食事、PET/ CT による検診などの各予定を十 分満喫して、全員無事に帰国の途 に就いた。今後の課題としては、 受診者と医療担当者間のコミュニ ケーションを円滑に取り結ぶため の医療通訳者や、医療と観光双方 で申し込みや日程構成や送迎・随 行等のきめの細かい旅行業務を行 うツアー・アテンダントの養成、 そしてそれらのマネジメント体制 の構築などが挙げられる。



PET検診



島原市内観光