2010年7月号
編集後記

大学発ベンチャー創出は1,000社を目標にスタートした。年間設立数は平成 11年度(94社)から顕著に増え始め、平成16年度の245社がピーク。それ以降 は年々減少し、平成19年度は131社にとどまった。それでも19年度末には累計 で1,775社となった。そのうち、114社が清算、廃業、28社が企業売却等でなく なったが、半面、株式上場している企業も21社ある。米国では設立後10年間で 10社のうち、残るのは1社程度と言われている。わが国のベンチャー経営を取り 巻く環境は厳しいが、その中で、立派に成長しているところも多々ある。米国の ように、独自の技術と新しいマーケットの開拓で、短期間で大企業にまで躍進す るベンチャーが出てきてほしいものである。

(編集委員・阿部 敏郎)


大学の目的は教育と研究と社会貢献であると言われて久しい。その根拠は平成 18年の教育基本法の改正で、第7条「大学は、学術の中心として、高い教養と専 門的能力を培うとともに、深く真理を探究して新たな知見を創造し、これらの成 果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする。(以下 略)」という条文が追加されたことに由来する。これから“社会貢献”は教育と学術 研究に密接に関連がなければならないと示唆される。また“これらの成果を広く社 会に提供すること”という文言がどこまでの意味を指しているのか、個々の大学関 係者の判断と良心に委ねられており明確な基準は存在しない。これを“大学の良き 伝統”と思うか“大学は統制の取れていない組織”と思うかは読者の自由である。

(編集委員・伊藤 正実)


前月の6月号は、京都で開催の「科学・技術フェスタ in 京都−平成22年度産学 官連携推進会議」を照準に編集したため、発行日は5日(例月は15日)。11日に、 記事の1つ「冬虫夏草から新薬が生まれようとしている」の著者、谷田清一氏か らのメールを受信。「ノバルティスがFDA(米国食品医薬品局)に承認申請してい た多発性硬化症治療薬(FTY720、フィンゴリモド)について、諮問委員会が承認 を支持したという情報が入りました」。タイムリーな記事となった。その数日後、 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小惑星探査機「はやぶさ」(回収カプセル)が奇跡 の帰還。満身創痍(そうい)で、制御不能、音信途絶の時期もあったと、メディア は情にも訴える。科学・技術が茶の間に「伝わる」ということでは、山中伸弥教授 のiPS細胞以来の“快挙”だった?!

(編集長・登坂 和洋)