2010年10月号
イベント・レポート
イノベーション・ジャパン2010-大学見本市
大学ゾーンを拡大、研究成果に焦点

独立行政法人科学技術振興機構(JST)は9月29日から10月1日まで、東京・有楽町の東京国際フォーラムで、大学の研究成果の展示会「イノベーション・ジャパン2010-大学見本市」(IJ2010)を開催した。主催者は、JSTと独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)で、今年度は7回目の開催となった。

開催初日には、髙木義明文部科学大臣が展示会場を視察。髙木大臣は、東京大学など4件の展示をご覧になり、研究者の説明を熱心に聞かれ、同日夜開かれたレセプションパーティーにも出席された。

本イベントの今回の特徴は、展示面積全体が縮小する中で、大学ゾーンを拡大し、より研究成果に焦点を当てた点である。面積の限られた展示場内で、研究者と来場者が接する機会を最大限設けることで、本来の開催趣旨である産学連携(マッチング)がより多く進むよう配慮した。また、マッチングの機会を拡充するため、企業側から大学側へ向けて技術ニーズを発表する「産から学へのプレゼンテーション」と、出展者が自身の研究内容を1分間で簡潔に発表する「ショートプレゼンテーション」を新たに実施した。

大学見本市とは
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会場の様子

イノベーション・ジャパン-大学見本市は、国内最大の産学連携イベント。JSTおよびNEDOは、全国の大学・高等専門学校等の研究シーズを展示会場に一堂に集め、来場した企業関係者へ紹介する場を提供する。本イベントは、わが国の大学、産業界の活性化を目指している。本イベントをきっかけとして、共同研究などに進展したマッチング率は、約20~30%に達している。

今回は、展示会場を大学ゾーン、企業・大学発ベンチャー企業ゾーン、イベント・説明会ゾーンに大きく3分割し、展示会やセミナー等を実施した。主な構成は、次の通りである。

1. 大学等の研究者による研究成果の「展示会」
2. 学側から産側へ向けて実用化を展望した研究発表を行う「新技術説明会」
3. 産側から学側へ技術ニーズを示して産学連携を図る「産から学へのプレゼンテーション」
4. 展示する研究者が、研究の概要を1分間で発表する「ショートプレゼンテーション」
5. JSTの大学支援事業から生まれたベンチャー企業が、販路拡大、資金調達を目的にパートナー企業を探す「JST大学発ベンチャービジネスマッチング」

このほか、企業側がシーズおよびニーズを発表し、産産連携・産学連携を図る「産業界からのプレゼンテーション」(NEDO企画)を実施した。

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髙木義明文部科学大臣(中央)。展示ブースで、研究者の説明を受ける

開催結果概要

IJ2010の開催結果は表1の通りである。今回は、会期を縮小したことなどの影響で、来場者数が延べ約2万6,000人と前年度の開催に比べて減少した。

表1 イノベーション・ジャパン2010 開催結果

イノベーション・ジャパン2010-大学見本市
http://expo.nikkeibp.co.jp/innovation/

会  期:2010年9月29日(水)~10月1日(金)
会  場:東京国際フォーラム(東京・有楽町)
主  催:科学技術振興機構(JST) 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
共  催:文部科学省 経済産業省 内閣府
特別協賛:野村證券 協力:清水建設
入 場 料:無料
来場者数[人]

1. 研究成果の展示会について

今回の大学等の展示数は360。前年度の352に比べて増加した。今回は、「イベント・説明会ゾーン」を展示会場内に設けたことなどが原因で、前年度に比べてスペースが手狭となったが、大学等の展示に特化した。出展した大学等の数は154と、前年度と同じだった。

各展示ブースは、環境、新エネルギー・省エネルギー、アグリ・バイオ、医療・健康、ナノテクノロジー、材料、ものづくり、ITの8分野に分け、分野ごとに展示した。

2. 新技術説明会について
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新技術説明会

今回は、上記8分野で計205のセッションを実施した。前年度の216に比べて微減。セミナールームの定員は約80人であったが、満席となるケースが多くみられた。今後、マッチングへ進むことが期待される。

3. 産から学へのプレゼンテーションについて

大手メーカーを含む9社が、自社が抱える技術課題などのニーズを発表。聴講者は、大学関係者に限られるが、各セッション約20~40人が参加、真剣に耳を傾けた。

4. ショートプレゼンテーションについて
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ショートプレゼンテーション

出展者360人が、専用に設けられたスペースで、研究内容を1分ごとに代わる代わる発表した。発表資料は約2枚のダイジェスト版で、発表の様子は、展示会場の出入り口など3カ所で生中継した。複数の来場者が、中継画面前に集まり、画面にくぎ付けになる場面がたびたび見られた。

5. JST大学発ベンチャービジネスマッチングについて

JSTの大学支援事業から生まれたベンチャー企業6社が、業務提携や共同研究を目指してプレゼンテーションを行った。またこのうち4社はブース展示も行い、業容拡大を目指した。

(浅野 英之: 独立行政法人科学技術振興機構 イノベーション推進本部 産学連携展開部 産学連携担当 主査)