2010年12月号
特集2  - 第2回イノベーションコーディネータ表彰
イノベーションコーディネータ賞・奨励賞 佐藤明氏
地方公設試コーディネータはイノベーションの切り札
顔写真

佐藤 明 Profile
(さとう・あきら)

秋田県 産業労働部 地域産業振興課
技術振興班長


●受賞理由
県職員として、秋田医工連携ネットワークを構築。医療ニーズ集と技術シーズ集の作成などの活動により、医師と工学研究者・企業技術者を1つに結び、多くの共同研究を創出。産学官連携の新しいあり方を提示した。

このたびの表彰は、苦労を共にしてきた仲間全員に光を当てて頂いたものと思う。医学医療、工学、地元企業の連携にあたり、お骨折り頂いた皆さまに深く感謝する次第である。

自治体で地域産業振興を担当している私たちは、地元企業の課題解決のために地域内から技術シーズを見つけ出し(マッチング)、時には研究開発プロジェクトを構成(イノベーション)する。この時、私が依り代とするのが、「技術の集積した場所(畑)」と「技術を翻訳できる場所(台所)」である。

前者は地元大学・高等専門学校(高専)が最適地であり、地元大学・高専のコーディネータとの密な連携がとても重要になる。しかし、せっかく畑(地元大学・高専)に良い作物(技術シーズ)が実っていても、台所料理(技術の翻訳)が苦手な地元企業には手が出ない。もちろん料理上手な地元企業もあるが、まだまだ少数派だ。自分で料理せずにジャンクフード(量産手間賃加工)だけ食べていたのでは、丈夫な身体(技術イノベーション)は望めないのである。

地域に必要な要素技術と研究員

「地元企業の代わりに技術の翻訳をしてくれるのが地方公設試験研究機関(公設試)である」と、私は考えている。地方公設試は、地域に必要な要素技術と研究員を常備し、地元大学・高専と地元企業とのバインダ役を果たしていくべきなのである。そして、その機能をフルに生かすために、「地方公設試にこそ技術コーディネータを配置すべきである」と考える。できれば、熟練した研究員の中からスキルのある人物を技術コーディネータに抜てきし、専任業務として頂くことがベストミックスであると申し上げたい。

地方公設試の強みは、地元企業との共同研究や技術相談指導が充実していることであり、地元企業は地元の地方公設試から技術の翻訳を習い学ぶことにより、自身の手で技術イノベーションを創起する道を開拓することができるようになる。

地方公設試コーディネータは、地元企業を技術イノベーションへ導く切り札であり、地域活性化の起爆剤となることだろう。