2011年2月号
巻頭言
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河野 博文 Profile
(かわの・ひろぶみ)

独立行政法人 石油天然ガス・
金属鉱物資源機構 理事長



チャレンジ精神で未知・未開発の資源・エネルギーに挑む

資源・エネルギー価格は、2008年のリーマンショック後に一時的に下落したが、2009年以降再び上昇基調に転じている。特に自動車やIT製品等の製造に不可欠であるレアアースについては、2010年夏以降、生産の大半を占める中国からの供給問題が生じ、価格が高騰した。このような状況や、新興国や途上国の経済成長に伴う長期的な需要増を考えると、資源・エネルギーの安定供給確保の必要性は今後ますます高まってゆくものと認識している。

わが国の政策実施機関として、私ども「石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)」では、リスクマネー供給や人材育成を通じてわが国の企業支援、技術開発、資源外交推進など、資源・エネルギーの安定供給を目指す各種事業を行っている。その中から、産学官の連携で、日本の技術力を生かした新しい分野での活動を開始している例をご紹介したい。

まず、日本近海に豊富に賦存(ふぞん)するとみられる新資源「メタンハイドレート」については、JOGMECが2001年度より産学官で構成するメタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム(MH21)の中核的メンバーとして、開発に必要となる技術的知見の蓄積を国内外で実施しており、近々、日本周辺海域で世界初の海洋産出試験を行う計画である。

また、レアメタルをはじめとする鉱物資源賦存のポテンシャルが高いといわれるアフリカでは、JOGMECは2007年にボツワナ政府との間で鉱物資源分野での包括的な協力関係の強化に関し合意し、翌年に衛星画像を用いた広域地質解析を行うための拠点を同国に開設、地質技術者に対する技術移転のための研修・共同解析事業を開始した。現在では事業の範囲はほかの南部アフリカ諸国にも拡大しており、またわが国とボツワナの大学同士の交流も行われるようになった。

さらに、未開発のリチウム資源が豊富なボリビアでは、JOGMECが中心となったわが国の産学官によるミッションが同国を訪問し、2010年11月にJOGMECとボリビア鉱山公社との間で、ウユニ塩湖のリチウム等資源の産業化に向けた研究および開発に関し合意し、今後商業化技術の確立のための資機材供給、研究員派遣がなされる予定である。

このほかにも世界には未知、未開発の資源・エネルギーを有する地域が数多く残されている。将来のビジネスチャンスが眠っているこれらの地域に対しては、上述のごときわが国の技術力をてこにした調査活動が、将来実を結ぶものと考えている。JOMGECは、資源・エネルギーの安定供給の担い手として、今後とも、チャレンジ精神をもってそのような地域へのビジネスの足掛かりを築いてゆく所存である。