2011年12月号
特集 - 市街地対策・まちづくり 学の貢献
高校生のチャレンジショップ「吉商本舗」

若園 耕平 Profile
(わかその・こうへい)

富士市立高等学校 教諭



静岡県富士市の吉原商店街にある商店「吉商本舗」は、同市立高校の「ビジネス部」の生徒が運営している。7年余りの歴史をもっている。企業といろいろなオリジナル商品を開発。また、アフリカ大陸のマラウイ共和国の子どもたちが作るブレスレットを販売し、同国の貧困やエイズに苦しむ子どもたちの支援を行っている。

写真1 吉商本舗

写真1 吉商本舗

高校生が運営する商店「吉商本舗」(写真1)は2004年7月24日、静岡県富士市の吉原商店街にオープンした。当時、学校名は富士市立吉原商業高校だった(2011年4月、学校名が富士市立高等学校と変わった)。商業高校では生徒全員が商業を学習する。商業を実際に体験するため、店舗運営の部活動を行いたいと、「商業ビジネス部」(現在はビジネス部)が発足。部員9名でスタートしたこの部が吉商本舗の主体となった。

お店で販売するのはお菓子、ジュースなどが中心だが、雑貨、オリジナル商品、フェアトレード商品などのほか、「郵便」も取り扱っている。店舗は、木曜の定休日、テスト週間、年末年始の休み以外は基本的に毎日営業している。営業時間は、平日は授業が終わってから夕方6時まで、土曜・日曜・祝日は朝10時から午後3時まで。商店街でお店を開く以外に、出張販売も行っている。市内の出張販売の依頼が多く、最近では土日の出張販売は当たり前で、1日2、3か所訪問することもある。デイサービスを行っている老人介護施設、学童保育の施設、子ども会、地域のお祭りなど出張先もさまざまである。「販売を通して、地域や社会に貢献する」ことを目的に掲げ、地域や社会のためにできる活動を常に考えている。

企業とオリジナル商品開発

生徒たちは、商品の仕入れから入出金の管理、出張販売の調整や、シフトの割り振りなどを自分たちで行っている。また、企画に関しては、吉商本舗オリジナルの商品を企業と連携して開発したり、店舗でのイベントを考えたりしている。

オリジナル商品はたくさんある。「よっぷ」というあめ(写真2)は、あめの中に「吉」の文字が入っている。2年ほど前から「べにふうき」「マラウイ紅茶」「ブルーベリー」と富士市や本舗に関係のある味の製品を出してきた。今年第4弾の「だいだい」味を出し、4種類まとめてパッケージしたものも販売している。最新のオリジナル商品は、ぽんず(吉商本ぽん津)とめんつゆ(だいだいめんつゆ)(写真3)で富士・富士宮市のマックスバリュ全店(11 店舗)で11月5日から販売を開始した。

写真2  吉商本舗オリジナル商品「よっぷ」

写真2  吉商本舗オリジナル商品「よっぷ」

写真3 「だいだいめんつゆ」

写真3 「だいだいめんつゆ」

マラウイの子どもたちを支援

フェアトレード関係では、アフリカ大陸南東部にあるマラウイ共和国の子どもたちが作るブレスレットを2006年から販売している。カラフルなビーズでできた製品だ。この売り上げで、同国の貧困やHIV・エイズに苦しむ子どもたちの支援を行っている。きっかけは、私が参加した独立行政法人国際協力機構(JICA)の「教師海外研修」。研修先の同国の村で目にしたのは、深刻なエイズ問題の現実だった。「何か私たちにできることはないか」と考えていたときに、当時、同国北部のルウェレジという町でエイズ予防の啓発活動を行っていた青年海外協力隊の尾崎瞳さんに出会った。尾崎さんは活動の一環で子どもたちとブレスレットを製作、販売し、その利益をエイズ遺児の学費や生活費に充てていた。生徒たちから「先生、やりましょう」と賛同が得られたので、吉商本舗でも販売することになった*1

図1 参加募集チラシ

図1 参加募集チラシ

また、本年は日本たばこ産業株式会社(JT)の支援を受けて、商店街全体を巻き込んだ企画を考え(図1)、多くの小学生を商店街に呼ぶことにも成功した。

2011年4月、富士市立高等学校という新しい学校として出発し、1年生には商業を学ばない生徒も入学してきた。難しい商業の知識がなくても店舗の経営に関われるよう工夫している。現在3年生が引退し、部員は1、2年生合わせて13名である。

生徒たちは店舗を通して社会と関わり、さまざまな経験をしている。生徒たちが社会の中で学び、自らの行動が社会に役立つと実感する経験は、何よりも生徒たちの自信になり、成長につながっていくはずである。